突然ですが、りんご猫をご存じですか?
りんご猫??
初めて聞きました!!
......という方。あなたは正しいです。
りんご猫とは、猫エイズキャリアの猫や、猫白血病ウィルスキャリアの猫達の新名称(造語)です。
■猫エイズとは?
猫エイズって聞くとどんな猫を想像しますか?
人間にうつるのでは?
触ってはいけないのでは?
すぐに死んでしまうのでは???
......そんな風に思ってしまう人っていると思うんです。
実は、野良ネコのうち、かなりの割合が猫エイズキャリアだといわれています。なぜ、そんなに猫エイズが増えているか......。
それは、感染力が強いからではないのです。野良猫同士は喧嘩も多く、さらに避妊去勢されていないために、発情期には交尾を行うために、野良猫の間で猫エイズが広まっていっていると言われています。実は、猫エイズは比較的感染力が弱いと言われています。もちろん人にはうつりません。
猫同士で感染するのですが、それも、交尾をするか、流血するくらいの大きな喧嘩をしてエイズキャリアの猫の体液が、健康な猫の体液と混じり合わないとうつらないのです。なので、猫エイズの猫を触ってはいけない......というのは全くの偏見ということになりますね。
それどころか、猫エイズキャリアだけであれば、発症をせずに15年から20年の寿命を全うする猫達も多いと言われています。。
ただ、健康な飼い猫を、家の中と外を自由に出入りできるようにして、避妊去勢をしていなかったことによって、野良猫と喧嘩をしたり、交尾をしたりすることで、無駄にエイズキャリアにしてしまっている飼い主さんは実は多いのです。
そんな飼い主さんは、自分の猫が、自分の不注意で、エイズキャリアになってしまっていることさえ気がついてないことが多いのです。悲しいことですね。
■猫エイズを防ぐ方法
飼い猫は、室内のみで飼う。避妊・去勢は必ずする。この二つを守っていれば、エイズキャリアになってしまうことは決してないのではないでしょうか? もともと、エイズキャリアの子であれば仕方ありませんが、飼い主さんの不注意で、エイズキャリアになってしまうことは、防いでもらいたいと思います。
私たちネコリパブリックは、猫カフェを運営しながら、保護された猫の里親探しをしています。保護された猫達は、全員、血液検査、ワクチン接種、避妊・去勢がすんだ状態で、ネコリパブリックにやってきます。
血液検査では、猫エイズと、猫白血病のキャリアでないかの検査を行います。ネコリパブリックの猫部屋に入れるのは、この血液検査で両方の病気が陰性であると判断された子のみにしております。
猫白血病は感染力が強いと言われていますが、猫エイズは感染力は非常に少ないのですが、猫部屋は猫達がたくさんいるため、万が一......ということがあるので、血液検査陰性の子のみに限定をしています。
ただ、私たちも、この仕組みを運用しておりながら、常に矛盾と戦っているのです。
■猫エイズへの悲しい偏見。
猫エイズキャリアであっても、通常、普通の猫と変わりがない生活が送れます。しかしながら、エイズが陽性というだけで、譲渡の際に大きなハンデとなり、ボランティアさんが一生面倒を見なくてはいけなくなってしまう、エイズキャリアの猫達が多数いるのが現実です。
実はネコリパブリックには、2匹の猫エイズキャリアの猫達がおります。ご縁があってやってきた猫達なのですが、二匹とも血液検査をしたら、猫エイズが陽性だったのです。そのため、しばらくの間、事務所猫として過ごしていました。
本当に人なつこい二匹で、兄弟のように仲良しで、いつも二人くっついて寝たり、昼間は追いかけっこなどをして楽しく元気に過ごしていました。
しかしながら、事務所にいるために、二匹に、新しい里親さんとの出会いはないのです。スタッフが、猫カフェオープンの時間だけ、ケージに入れてお客様に見ていただいたらどうか?という提案があり、先月から昼間の間だけケージの中で猫スペースにおります。でもやっぱりなかなかお声はかかりません。
猫エイズってだけで、どうしても、ひるんでしまう気持ち......分かるんです。仕方ないです。だって、猫エイズについての知識なんて、ほとんどの人が持っていないのだから......。
■りんご猫とさくら猫
やっぱり、猫エイズっていう単語がよくない!とふと思ったのです。この子達は、ちょっと運悪く猫エイズ陽性になってしまったけど、ちゃんと生きる権利があるし、もっと親しみやすい名称にして、病気についての正しい知識や、どうゆうことを気をつけたらいいのか等を、私たちが発信しやすい活動を行えばいいのだ......と。
ということで、猫エイズや、猫白血病ウィルスのキャリア猫達の新名称として、「りんご猫」というものが浮かんできたのです。実は、3月29日に、京都で猫祭りネコ市ネコ座を行う予定になっておりまして、その実行委員会の打ち合わせ中に、このアイデアが生まれてきたのです。
なお、このイベントはきびだんごというサイトで、現在クラウドファンドティングによる資金調達中です。
3月はちょうど、京都は桜の美しい季節。そんな京都での猫祭りは、さくら猫がテーマがふさわしいということで、お祭りのアイデアをすすめておりました。さくら猫とは、野良猫でも、去勢、避妊をすませた猫のことで、一代かぎりの命を地域猫として生きる猫達のこと。去勢、避妊の証として、耳をV字にカットするので、その耳の形が桜の花びらのようなので、さくら猫と言われています。
そこに、今回の猫エイズキャリア猫の問題がミーティングの際にでてきて、猫エイズキャリアの子も、さくら猫みたいに、かわいい名前にしたいよね!、と決まったのが「りんご猫」だったのです。
じゃあ、なぜりんごなの???
■世界エイズデーの後は世界りんご猫デー!
人間のエイズキャンペーンのテーマカラーが赤色で、12月1日が世界エイズデーとして世界的に有名になってきております。
猫のエイズも、テーマカラーは赤色にしたいね!と盛り上がり、赤色のものって何があるかなーと話し合ったところ、アダムとイブのりんご、白雪姫のりんご など、りんごはなんとなく、禁断のイメージが強い。。禁断の猫(猫エイズなどのキャリア)をイメージしやすいし、禁断の猫でもかわいくて飼いやすいというイメージをもってもらうために、りんごっていうアイコンはピッタリなのではないか......ということで、りんご猫が生まれたのです。
将来的には、りんご猫専用のネコカフェを作りたいと考えています。りんご猫の家ですね!
りんご猫がいかに可愛いか、普通の猫と変わりがないか、そしてりんご猫を増やさないためにはどんなことができるか......などを、また次回の記事で書いていきたいと思います。
【参考記事】
河瀬麻花 自走型保護猫カフェ・ネコリパブリック首相