■消費税が争点なら投票率は上がった!?
角川アスキー総研ではこれまで、'13年の参院選(ネット選挙運動解禁後初の国政選挙)、'14年の東京都知事選について、株式会社ドワンゴと協力して、選挙に関する意識調査を実施してきた。今回の衆院選でも、12月5日(金)〜7日(日)に、20代を対象にした"選挙に関する意識調査"を実施した。
速報なので踏み込んだ分析まではできないが、以下、調査結果をグラフで紹介する。なお、調査はネットアンケートによる選択式で、サンプル数は1,120人、全国5区分/性年代5歳刻み(男・女、20〜24歳・25〜29歳)で、人口動態に併せてデータを回収した。
グラフ1 これまでの選挙参加度×今回選挙に行くか
現時点の20代は、最大で過去4回までの衆参両院の国政選挙を経験している。その投票傾向ごとに、今回の総選挙への投票意向を聞いてみた。結果は上のグラフのとおり。各層にカッコ書きで記載したパーセンテージが、全体に各層が占める割合(たとえば、20代全体の38.8%が「有権者になってから、毎回投票している」)で、その層ごとの今回の衆院選の投票意向がグラフとなる。
これを見ると、過去の選挙での投票回数多い層ほど今回の選挙にも行くのは当然として、今回初めて選挙権を行使できる層の56%が、投票すると前向きに回答していることがわかる。
また、20代全体では、「投票する」と回答しているのは60.7%。「投票するか分からない」層からも投票に行く人が出ることを考えると、単純な20代投票率は6割を大きく超えることになる。
ただし、過去のこうしたアンケート調査でも、投票率は70%前後の高い傾向が出ていることを留意してほしい。実際の投票率はこの結果の6割程度になる傾向にあり、それらを鑑みると20代の投票率は30%台前半になるのではないかと思われる(前回、2012年の総選挙の20代投票率は37.89%)。
グラフ2 政治的な話題への関心
関心が高い政治的な話題としては、「消費増税先送り」、「年金問題」、そして「雇用問題」と、"個人"に関係するものが上位を占めている。しかし、関心度トップの「消費増税先送り」は、今回の選挙の争点になっていないのはご存知のとおりだ。
「アベノミクス」に関心があるのは20代のうちの30%にとどまっている。グラフにはないが、過去の投票傾向で選挙に行かない人ほどアベノミクスへの関心が薄くなっていることは興味深い。また男女別では、「年金問題」、「医療・福祉問題」、「少子高齢化問題」で女性の比率が高い。
グラフ3 選挙に行かない理由
「投票したい政党がないから」がトップ、次いで「投票したい候補者がいないから」、3位には「選挙へ行くのが面倒だから」が入った。また、"行ってもムダであると考えている"など、「選挙に行きたくない明確な理由がある」という層も、20代のうち10%程度存在している。
グラフ4 今後の日本が目指す行き先(単一回答)
トップは、「結婚や子育てといった基礎的な人間生活が保障される社会像」で、20代の約16%が望んでいる。それに対して、「監修や前例を重視することなく新たな形を模索する」や「リスクを背負っても成長や発展を目指す」といった言葉を含むような、チャレンジする社会像は支持を集めなかった(それぞれ2%程度)。ここでも、グラフ2と同じく"個人"の課題が重視される傾向がうかがえる。
20代に絞った調査で、他の世代との比較はできていないが、若年層の選挙を前にした状況や関心テーマは、このようなバランスとなっている。
潜在的に自党あるいは自党の候補者への票を持つ有権者を、いかに投票所まで連れてくるかが、選挙運動では大きな意味を持つ。過去の我々の調査でも、とくに"ネット選挙運動"の導入というタイミングでもあり、ここをテーマに実施してきた。
2013年の参院選では、"投票しなかった20〜30代女性"を分析した結果、「投票しなかった層の彼氏のいる率は、投票層の2倍」。それに対して、"投票しなかった20〜30代男性"は、まったく逆に「投票しなかった層の彼女がいる率は、投票層の半分以下」となった。
つまり、"恋人の有無"、つまり"リア充度"と投票傾向で、ネジレ構造が生じている。今回の調査では、参院選時の調査ほどネジレ構造は明確にはならなかったが、"リア充度"が高い層ほど投票に行かない傾向は同様だった。なお、"投票しなかった20〜30代男性"の職業としては、「IT関連」と「無職」の投票率が低かった。
今回の調査では、上記にあげた4つの速報グラフに加えて、"心の居場所"というパラメーターをもとに詳細な分析を試みている。そうした内容も加えて、本日、2014年12月12日(金)21時30分より、ニコニコ生放送の公式番組として『「選挙に行かないのは誰だ!?」 衆院総選挙2014〜角川アスキー総研presents〜』(http://live.nicovideo.jp/watch/lv202194653)を放送予定なので、ご興味のある方はご覧いただきたい。
また、角川アスキー総研では、Twitterのタイムライン上で電子書籍を閲読できるサービス「ePUB viewer for Twitter」の活用して、各党のマニフェストをTwitter上で閲読できるかたちで公開している(http://epub-tw.com/search/feature/10/)。
気軽に閲読でき、またRT等で広めることも可能なので、ぜひご覧いただき、投票行動の参考にしていただければ幸いだ。
※調査実施・協力: 株式会社イード