『究極のフレンチトースト』
分厚いトーストに特製卵液を24時間、じっくりと染み込ませる。あんなにも武骨だったハードトーストが、触れた瞬間に崩れそうなほど "プルプル" だ。
さらに1時間、オーブンの中に入れ、低温でじっくりと加熱する。オーブンから姿を現し、最後の仕上げを終えたフレンチトーストは香るバニラが食欲をそそり、自然と一口が大きくなる。
あんなにも大きい一口を食べたにもかかわらず、ノンストレスで胃の中を満たしていく。それほどふわふわで柔らかく、溶けていく。パン独特のパサパサ感はどこにも見当たらない、"偽りなきふわふわ"がここにある。
■材料(2人分)
5cmの厚さにカットした食パン(ハードトースト)......1枚
牛乳......300ml
生クリーム......100ml
卵黄......3個
バニラビーンズ......1/2本
砂糖......30g
無塩バター......大さじ1、小さじ1(それぞれ別工程で使用する)
メープルシロップ......適量
グレープフルーツ......適量
ポイント
使うパンは、バゲットの生地を食パン型で焼いたハードトーストが、ベスト。卵液がしみやすく、また材料が、小麦粉とイースト、塩、水のみでシンプルな味なので、卵液の美味しさが活き、好みの味に仕立てやすい。グレープフルーツは今が旬(2月~4月)のフロリダ産がおすすめ。
■作り方
①バニラビーンズの種を取る3分
バニラビーンズのサヤをナイフで縦にさき、種をスプーンで こそげ取る。
②牛乳を温め、バニラの香りを移す5分
バニラの香りを牛乳に移すため、牛乳を入れた鍋に①のバニラビーンズをサヤごと加え、 弱火にかける。牛乳の温度が鍋肌にふつふつとしだす程度(60℃)になったら火を止める。
③卵液を作る5分
ボウルに卵黄と②の牛乳を少しずつ加え混ぜる。その後、砂糖を加えて混ぜる。砂糖は温めた牛乳に加えることで溶けやすくする。
ポイント
卵液に卵黄のみ使用するのは、より柔らかくプルプルに仕上げるため。卵白を使うとかたくなったり、ムラが出やすくなってしまう。
④パンをカットする2分
5cmの厚さにカットされたパンの両端の耳を切り、さらに 縦半分に切る。
ポイント
両端の耳を切り忘れると、卵液が染みてきたときにバランスが崩れてしまう。きれいな形をめざすのならば決して忘れないこと。
⑤耐熱容器に卵液を流し入れ、パンを浸す。24時間
耐熱容器にバター小さじ1を薄く塗り、卵液を流し入れる。ここに、パンを入れ、冷蔵庫で12時間ほどおく。12時間たったら形が崩れないように注意して裏返し、さらに冷蔵庫で12時間おく。裏返すときはフライ返しなどを使うとよい。
⑥オーブンに入れて加熱する1時間
パンに卵液が十分に染みたら、 バニラビーンズのサヤを取り出し常温に戻しておく。準備ができたら110〜120度に予熱したオーブンに入れ、40分〜1時間加熱する。このとき、全体にじっくりと均一に熱が入るようにするため、上部に直接熱が当たらないようアルミホイルをかぶせる。
⑦盛り付けのグレープフルーツを準備する10分
グレープフルーツの皮と薄皮をむいて中身を取り出しておく。
⑧パンにきび砂糖をふりかける2分
卵液が固まってきたらオーブンから耐熱容器を取り出し、きび砂糖をふりかける。
⑨フライパンで焼き目をつける5分
耐熱容器からパンを取り出し、ふりかけた面を下にしてバター大さじ1を引いたフライパンで焼き目をつける。焼いている最中にパンの上面にもきび砂糖をふりかけ、焼き目がついたら裏返す。この工程でもパンはプルプルな状態のため、フライ返しなどを使って作業するとよい。
⑩盛り付けて完成1分
両面焼き色をつけたら皿に盛り、好みでグレープフルーツを載せ、メープルシロップをかけて完成。
24時間かけて染みる卵液、1時間の火入れ
●長時間かけてじっくりと卵液に浸すことで、5cmの厚さのパンでも中心部までしっかりと卵液が染みこむ。そのため、出来立ての茶碗蒸しのようにふわふわで柔らかく、しっかりと味が染みこんだフレンチトーストになる。
●低温で1時間ゆっくりじっくりと焼き上げていくことで 周囲と中心の温度差も少なくなり、全体がふんわりと柔らかい状態に仕上げることができる。
撮影┃溝口智彦