ストレスが溜まったら「生姜焼き」を食べる! 一年の疲れをとる食事セラピー

実は「食事」から疲労回復やストレス解消につながる栄養素を補うことで、休息はさらに効果が上がります。

師走という言葉にふさわしく、何かと忙しい12月。年末年始のお休みに入ったら、今年一年で溜まった疲れをゆっくりと癒そうと考えている方も多いのではないでしょうか。

疲れの原因には、「肉体的な疲れ」とストレスなどによる「精神的な疲れ」があります。それらを解消するには、やはりゆっくりした時間を過ごして、心身ともに休むことがよいのですが、実は「食事」から疲労回復やストレス解消につながる栄養素を補うことで、さらに効果が上がります。

▼疲労回復には「キムチ鍋」

みなさんは、栄養ドリンクの裏に記載されている成分表示を見たことがありますか? 確認したことがある方はご存じかもしれませんが、たいていの栄養ドリンクには、「チアミン(ビタミンB1)」や「リボフラビン(ビタミンB2)」という記載があります。

ビタミンB1・B2・B6などの「ビタミンB群」は、疲労回復を助けてくれる栄養素の代表的な存在。これらは炭水化物・たんぱく質・脂質を燃やしてエネルギーにする際に必須の栄養素なので、このビタミンB群が足りないと、ごはんはしっかり食べているはずなのに、エネルギー不足に陥って疲れやすくなってしまうのです。

ビタミンB群の中でも、ビタミンB1は「疲労回復のビタミン」と呼ばれるほど、疲れている体には必要な栄養素。そのビタミンB1が豊富な食材の代表格といえば「豚肉」です。疲れが溜まってなかなかとれないというときは、寒い時期でもありますし、豚肉とニラたっぷりの「キムチ鍋」がおすすめです。豚肉とニラを一緒に食べると、ニラに含まれる「アリシン」がビタミンB1の吸収率を高めてくれるので、相乗効果が期待できます。

手軽に摂れる食品なら「納豆」もビタミンB1が豊富。薬味にネギを加えると、同じくビタミンB1の吸収率を高めてくれます。

▼ストレスが溜まっているときは何を食べればいい?

同じ疲れでも、ストレスからくる精神的な疲れは、体の疲れよりも辛く感じることもあります。そんなときは、精神的な安定をもたらしてくれる神経伝達物質「セロトニン」の原料である「トリプトファン」を積極的に摂りましょう。

トリプトファンはアミノ酸(タンパク質)の一種で、体で合成することができない「必須アミノ酸」と呼ばれるもの。食事から補わなければ不足してしまうので、意識的に摂り入れる必要があります。

また、精神的な疲れを解消するには「質のよい睡眠」も重要。安眠をもたらしくれるのは「メラトニン」というホルモンの作用です。メラトニンはセロトニンから合成され、「トリプトファン→セロトニン→メラトニン」と順に合成されてできる関係にあります。

セロトニンが合成されるのは日中なので、トリプトファンは「朝食か昼食時」に摂り入れるのがベスト。トリプトファンが多い食材として代表的なのは、大豆・牛乳・豚ロース・マグロ・カツオ・バナナ・蜂蜜などです。

朝食には、トリプトファンの多いバナナと牛乳を合わせた「バナナミルク」などはいかがでしょうか。さらにバナナには、セロトニンの合成に使われる「ビタミンB6」も含まれます。朝食のほか、日中の間食として摂っても構いません。ジューススタンドなどにも売っているので、ストレスを感じたときには、ぜひ試してみてください。

また、ランチには、「豚肉の生姜焼き」「マグロの刺身」「肉豆腐」などがおすすめです。トリプトファンは肉・魚・大豆にも多く含まれます。昼食時にはメインのおかずである主菜として、「タンパク質」を1品取り入れるよう心がけましょう。

▼ストレスが溜まったときは「唐揚げ」は避けよう

逆に、ストレスが溜まっているときに避けたい食べ物は、睡眠を阻害する食べものです。有名なのは、コーヒーや緑茶に含まれるカフェインですが、その他にもあります。

たとえば、唐揚げなどの脂っこい食べ物は消化に時間がかかるため、寝る前に食べると寝ている間も消化活動で内臓が動いている状態になってしまい、質のよい睡眠が得られません。どうしても食べたいときは、寝る3時間以上前に済ませるとよいでしょう。

また、お酒も睡眠を妨げます。一般的にはお酒を飲むと眠くなるイメージをお持ちの方も多いでしょう。確かに、お酒には寝つきをよくする作用があります。ですが一方で、「中途覚醒」といって、夜中に脳が覚醒してしまう作用もあるといわれています。

このように、お酒を飲むと眠りが浅くなり、睡眠の質を下げることにつながります。ストレス発散のためにお酒を飲むのはよいのですが、深酒は禁物です。

長い間ストレスにさらされると、体に通常より多く「活性酸素」が発生します。活性酸素は老化や生活習慣病の原因になるため、できるだけ除去しておきたいもの。この除去のためには、ビタミンA(β‐カロテン)・ビタミンC・ビタミンEなどの「抗酸化ビタミン」を積極的に摂ることが大切です。

抗酸化ビタミンは、色の濃い野菜(緑黄色野菜)や果物に豊富です。朝食に果物を加えたり、メインのおかずとあわせてカボチャやニンジン、トマトなどの緑黄色野菜を使ったおかずを加えたりして効果的に補いましょう。

▼コンビニ食でもできる「疲労回復」「ストレス回復」

最後に、コンビニなどで手軽に手に入る「疲労回復・ストレス回復メニュー」をいくつかご紹介しましょう。

ポイントは、疲労とストレス回復に必要な「たんぱく質」と「ビタミンB1」が補えるメニューや、「抗酸化ビタミン」が摂れるメニューを選ぶことです。

①肉野菜炒め(惣菜)+ごはん+ひじきの煮物(パック惣菜)

コンビニで選ぶなら、お弁当ではなく、単品を組み合わせて「コンビニ定食」をつくりましょう。お弁当はどうしても野菜が少なくなり、ごはんが多くなりがち。単品の惣菜を付け加えることで、栄養バランスが整った組み合わせをつくることができます。

メインの惣菜には、「ビタミンB1」を意識して、豚肉を使った野菜炒めや豆腐を使った料理を。サブのおかずには、少量ずつパックにされたお惣菜を利用すると便利。ひじきの煮つけや切干大根の煮つけ、具だくさんの豚汁など、1品加えることで、栄養バランスが整い、疲労回復の効率を上げてくれます。

②ハムレタスサンド+具だくさん惣菜スープ(トマト)+オレンジジュース(100%果汁)

最近、具だくさんの「食べるスープ」がコンビニにも多く置かれるようになってきました。ストレスにさらされた体を立て直すためには、ミネストローネなどのトマトベースの具だくさんスープがおすすめ。そこにオレンジやグレープフルーツなどの100%果汁の果物ジュースを加えて「ビタミンC」を補えばベストです。

【近著】

「正しい食べ方」を知れば、あなたの頭も体も、見違えるように動き始めます。「夕食が遅くなるときは『先取り完食』せよ」「飲み会で太らないための前準備」「焼肉の食べ方、5つの鉄則」「牛丼と天丼ではどっちがより太りやすい?」「太らない『コンビニ定食』のつくり方」など、最新の栄養学の知見と60万人・2億食のビッグデータ分析から、ビジネスパーソンの「最強の食事術」を明らかにする一冊です。

▼画像をクリックすると開きます▼