HPVワクチン接種後に起きた起立性調節障害様の症状からの回復

中学2年の春から徐々に倦怠感が現れ、学校に行くのが辛くなりだしました。膝の痛みも出現しました。

娘は、中学1年生の時にヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを三回接種しました。

中学2年の春から徐々に倦怠感が現れ、学校に行くのが辛くなりだしました。膝の痛みも出現しました。整形外科に2件ほど行き、検査を受けましたが原因は分かりませんでした。膝の痛みの度合いは、日によって違い、酷い日には松葉杖で学校に通ったこともありました。

そして冬のある日、起き上がることが出来なくなりました。目が覚めていても、体を起こすことができません。日が経つにつれ睡眠時間が長くなり、夜は明け方まで眠れなくなりました。倦怠感は一層酷くなりました。

幸い学校側に大変理解があり、起きた時間から登校したり、部活だけの参加になったり、欠席したり、行事だけの参加をしたりしながら、何とか学校との繋がりを保ってはいました。中学3年生に上がってからは、ほとんど登校もできなくなりました。手足の痺れ、頭痛、生理痛、生理の際の経血過多が加わり、時には微熱・高熱もありました。

全く原因が分からず困り果て、近隣にある精神科診療所の精神保健福祉士に相談しました。娘が中学生なので、いくつかの思春期外来を紹介してくれました。はじめに心療内科の診療所にかかりました。そこでは起立性調節障害と診断され、低血圧治療剤のメトリジンと向精神薬(ドグマチール、リーゼ、レクサプロなど症状に合わせて適宜)が処方されました。

診断がつき、病状が良くなることを期待しましたが、症状は全く改善しませんでした。娘は「薬を飲むと、余計に具合が悪くなる」と言っていました。この診療所には10か月通いました。

その後、起立性調節障害の治療に強いとされる別の診療所を見つけ、転医しました。まず、思春期に向精神薬を飲んでいては良くないから、と向精神薬の断薬を勧められました。低血圧治療剤(リズミック)、睡眠薬(ロゼレム)、漢方薬(五苓散、葛根湯)が処方されました。他、サプリメント(コエンザイムQ10)も勧められ、飲みました。

しかしながら、娘の症状は一向に良くなりませんでした。薬を飲むと体調が良くないと言う娘の話を医師は聞いてくれ、ほとんどの薬を中断して経過観察のみになりました。

その頃娘は高校1年生になっており、何とか気力だけで学校に通っていました。仕事をしながら、私もできるだけの送迎をしました。朝のホームルームからの参加はできず、授業からの時間に何とか教室に入っていました。教室で座っているだけでも辛い状態でした。夏休みになると症状は悪化し始め、ほとんど寝て過ごす日々になってしまいました。原因の分からない高熱を出したり、足の痺れが酷くなったり、膝の痛みも悪化しました。

益々途方に暮れていた時に、子宮頸がんワクチンの副反応で同じような症状があることを知りました。Twitter で、ある新聞記事を見つけたのが契機です。「信州大学の池田教授が語る『ワクチン接種後に、起立性調節障害のような症状を訴える少女がたくさんいる』と」。それをみて、うちの娘も?と思いました。

そして、子宮頸がんワクチン被害者連絡会の存在を知りました。問い合わせをして相談したところ、信州大学医学部神経内科の池田教授を紹介されました。受診し、診察を受け、ワクチン副反応と診断されました。私たちは困り果てて信州大学まで行きましたが、教授は「峠はこえているよ。じきに治る」とだけ言われました。

その頃、記憶障害の症状も出始めており、池田教授からは認知症に使う薬も勧められました。とくに有効な治療法が無いことが分かり、親子で途方に暮れてしまいました。娘は「もう、誰を、何を信じたら良いのか分からない」と泣きました。地元の昔からかかりつけの診療所に行き、池田教授から言われたことを伝えて相談したところ、「娘さんはワクチン被害ではないし、まして認知症の薬なんてとんでもない」と言われました。

ワクチンの副反応と診断されたものの、これと言って治療法もなく、様子見、つまり何もしないで、日々の症状に耐えるだけの地獄のような日々でした。

ワクチン副反応の相談窓口として各地方に医療機関を選定したとの報道がありましたが、治療をしてもらえる訳ではありませんでした。ワクチンの被害なのか否かに関して、情報が少なく、自分だけで調べるには限界がありました。

高校1年生の冬、SNSで、娘と同じような状態から回復した人がいることを知りました。その方に直接連絡をとり、カイロプラクティックの林先生・望月先生にたどり着きました。両先生から娘に合わせた食事の注意点やサプリメントを教えてもらい、数回の施術を受けました。代替医療を受けながら、かかりつけの診療所にも経過観察のために通っていました。

望月先生に毎月診てもらい、林先生には時々、合計で3回ほど診てもらいました。先生とは、いつでも困ったことを相談できる状態にあり、本当に心強かったです。身体を診てもらいながら、家庭では食事の注意点を守りました。

初めは、食べることができない食材もたくさんあり、スーパーの中を何周もぐるぐると回り食材の前で立ち尽くしたこともありました。無我夢中のうちに、少しずつ、やがてどんどんと娘の症状は良くなり、食材の制限がなくなりました。

そして数か月後には何の症状もなくなりました。その状態が数か月続き、食材制限全てなくなり、サプリメントも不要となりました。高校2年の冬の初めには、アルバイトも始めました。それから、もう1年が経ちました。回復してからの娘は、風をひいたり、胃腸炎にかかったり、などはありましたが、それ以外には何もなく元気に過ごしています。

ここから、わが娘が身体の回復をしてからの心の回復を少しお話します。娘は体調を悪くしてから、回復まで長かったせいか、そこから精神面の回復との戦いがありました。

寝込んでいた間には、辛いこと、悲しいこと、悔しいこと、諦めてきたことばかりでした。原因が分からなかったこともあり、娘と私は沢山ぶつかり合いました。体調が悪くても、そこから回復しても、娘は思春期真っ只中。ずっと心の成長、親子の距離感には気を付けてきました。回復はしたものの、病気になる前の世界に戻れたわけではありませんから、そこを間違えて焦らせると、今度はまた、本当に精神面に支障がきたすこともあるかもしれません。

それでも、体調の悪かった頃のことが少しまだトラウマである私は、心配を口にすると『お母さんは心配しすぎ!』と娘に言われてしまいます。回復してからの娘はきっと、もう過去は振り向かず、全て自分で考え、自分で前に進みたいのです。一つ一つ自分で乗り越え、自分のことは全て自分で動いています。いろんなことにチャレンジをしています。

ずいぶんと強くなり、健康管理もするようになりました。頼もしくなった娘のこれからが楽しみでもあります。娘の進む道を、これからも信じ、手をかけずに目をかける、で一番の応援者でありたいと思っています。

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