【SOSを否定され続ける発達障害の子供たち~社会の理解で救えるこころの傷~】

今、学校に通えなくなっている発達障害の子供たちは増え続けています。

先日まで学校に来てたのに、あの子最近見ないな?

そういった事が学校で起こっていませんか?

実は、風邪をひいた時に体を回復させる為にお家で安静にするように、「傷ついたこころ」から自分を守るために家で過ごしているお子さんもいるんですよ。

「不登校」「ひきこもり」、多くの人はそういう言葉で片づけてしまうかもしれません。

でもこの子たちは、そういった選択を積極的に選んでるのではなく、「学校に行かない子」というよりは「学校に行けない子」なんですよ。

今、学校に通えなくなっている発達障害の子供たちは増え続けています。

これは、「発達障害という障害があるから学校に行けない」というよりは、「発達障害の事をちゃんと理解してもらえてない事が原因で、こころが傷ついて学校に行けなくなってしまっている子供たち」なんです。

最近では、こういった子たちへの心のケアや学校以外に安心できる場所づくりが進められていますね。でもそもそも、

「どうして学校に通えなくなる発達障害の子が増え続けるのか?それを未然に防ぐ方法はないのか?」

そういった事を考えて実行するのもとっても大切な事だと思うんです。

そこで今日は、発達障害の子供たちの「こころ」の状態から、この問題を考えてみたいと思います。

●発達障害の子は「困らせる子」じゃなく「困ってる子」という理解の大切さ、知ってください

「発達障害ってどういう障害か知ってますか?」ってきかれたら、何とこたえますか?

多くの人は、「じっと座ってられない子」「パニックを起こす子」「我慢が足りない子」等々、『クラスで他の子や先生を困らせる子』というイメージなんじゃないかな?

でも「困らせる子=発達障害」というのは誤った認識なんですよ。

行動だけを表面的に見れば確かに「困らせる子」ですね。でも実際は、この子達は「困らせる子」じゃなく「困ってる子」なんです。

発達障害の子たちの不適切ととられる行動は、実は彼らの「困ってること」の表れで、SOSのサインなんですよ。助けてほしい「心の叫び」です。

●発達障害の子の一見不適切と受け取られる行動。実はSOSの発信なんですよ

例えば授業中立ち歩く子の場合、彼らは授業を妨害したいわけではありません。困ってるんです。

例をあげてみましょう。

A君は、先の見通しを持つのがとても苦手です。目で見て何が行われているのかわかるように示してあげれば、安心してクラスに参加できます。しかし先生が言葉の説明だけで授業を進めると、理解できず不安になってきます。そして不安からパニックを起こしたり、その場から逃げ出すように席を立ってしまうんです。

Bさんは、その時に必要な音と必要でない音を選ぶのが難しい聴覚の特徴を持っています。黒板にチョークで字を書く音も、先生が話す声も、隣の子たちがおしゃべりする声も、どこかのクラスで笛の練習をしている音も、すべて一斉に聞こえてしまうんです。音の種類によっては耳が突き刺さるように痛くなって耳をふさいだり、イライラしたり、その場にいられず教室を飛び出してしまう事もあります。

Cさんは、とても興味の範囲が広い子で、目にしたこと、耳に入った音などの刺激に興味や注意が移りやすい子です。教室の窓の外の運動場から大きな音が聞こえると、見に行かずにはいられません。それは決して授業中に立ち歩いてはいけないというルールを意図的に無視しようとしたり理解していないのではなく、気が付いた時にはもう興味のある物や刺激にひとりでに体が反応してしまうわけです。

発達障害への理解のない環境では、この子たちの行動は「不適切」と判断され「席に戻りなさい」と叱責させるでしょう。でもそれでこの子たちの抱える問題は解決しますか? NOですよね。だから同じ事の繰り返しになってしまいます。そしてまた叱られます。そして我慢が足りない子、しつけができてない子、努力が足りない子...そんな風にレッテルを貼られます。

でもね、彼らの「立ち歩く」という行動は、彼らのSOS、すなわち「こころの叫び」なんですよ。

  • A君は、「僕わからなくて不安なんだよ。わかるように説明して~!」
  • Bさんは、「この辛い音から私を助けて~!」
  • Cさんは、「授業に集中したいから、余計な刺激を減らして~!」

というSOSをそれぞれ発してるわけです。

発達障害の子達が発するSOS・こころの叫びは、「私達にわかる方法で伝えてください・私たちは困ってるんです」というサインなんです。

でも、発達障害への理解がない環境の中では、彼らのSOSは無視され否定され続け、おまけに咎められます。そんな中で彼らはどんな思いをすると思いますか?

「自分は悪い子だ」「自分なんか...」と自信をなくし、自分を責めるんです。発達障害の子たちのこころの叫びは否定され、そして彼らの心は傷つけられます。そして教室が、安心できる居場所じゃなくなるんです。

●失敗や失望の積み重ねで引き起こされる発達障害の二次障害

こういうことが、発達障害の二次障害の始まりのきっかけになります。そしてそれが不登校やひきこもりのきっかけになるケースは多々あります。

彼らは、学校に行かない子ではなく、「学校に行けない子」なんですよ。

完全に学校に通えなくなっている子だけでなく、週に数日・一日に数時間しか学校に足が向かない子を合わせると相当な数になると思われます。

不登校や引きこもりは、自分を「周囲の無理解」という不安から守る為の行動なんです。

彼らは、安心できる居場所を求めている子達なんですよね。

発達障害の二次障害を併せ持った子たちは、不登校や引きこもりといったような行動上の苦しみだけでなく、チックなどの身体的な苦しみ、不安障害やうつなどの気分障害といった精神医学的な苦しみも併せ持っている事が多いんです。彼らが適切に対処してもらえなかったSOS・こころの叫びは、彼らのこころを傷つけ、そしてその傷ついたこころに苦しめ続けられています。

こうなる前にできること、ありますよね?

●社会の理解で救えるこころの傷、救える一人になってくれませんか?

発達障害からくる特性はうまく付き合っていくものなんですが、二次障害は防ぐべきものなんですよね。

そう、二次障害は防げます。

その為に必要なのは、周囲の発達障害への理解なんです。

発達障害の子供達は、障害があるように見えないからこそ周囲に誤解されて苦労する子供たちです。発達障害のない人が「さぼったらできない」「手を抜いたらできない」といった事が、さぼってるわけでも、手を抜いてるわけでもなく「障害ゆえに」難しい障害だということなんですよ。

でも、発達障害のことをよく知らない人には、どんな風に接すればいいのか?それを知るのは難しいですよね。

だから「発達障害という見えない障害を持っている子達は、その障害が見えないからこそ困ってる」ということをせめて知って頂けたらなって思います。

何か周囲を困らせる行動をその子がした時、この子は今どんなSOSを発したのかな?という視点でぜひ接してあげてください。

そして最後にもう一つ。

この子達はほめられる経験がとっても少ない子たちです。

でも、他の子ができて当たり前のことでも、一生懸命彼らなりの方法で頑張ろうとしています。

あなたから見てできて当然・当たり前のことでも、ぜひ積極的にほめてあげてください。

それはきっと発達障害の事をよくわかってない人にもできることですよね。

こころのコップをほめ言葉で満たしてあげることが、この子たちのこころを健全に育てる一番の近道だから、発達障害の子供たちのこころ、ぜひ社会で支えてください。

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"Young Minds Matter"(「子どものこころ」)は、子どものメンタルヘルスや感情の問題について、議論を広めていこうと企画された新しい特集です。この特集を通じて、子どもたちに「自分は愛されている、大切な存在だと思われている、理解されている」と感じてもらいたい――ハフィントンポストはそう考えています。

企画にあたり、1日編集者としてイギリス王室よりキャサリン妃をお迎えし、いま子どもたちが直面している心の問題やその影響、そして解決策について、ともに考えていきます。

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