育休明けでいよいよわが子も保育園デビューという皆さん。あるいは少し前から職場復帰して子どもの進級やクラス替えを前に「ランドセル姿も慣れてきたな」なんて思っているママパパたち。4月という年度の節目にぜひ、夫婦で話し合ってほしいな、と思うことがあります。
育休明けなら子どもは1~2歳、小学校低学年でも7~8歳ですね。勉強については少しは考えるところもあるでしょうが、進路と言われるとまだピンとこないかもしれません。でも、今だからこそ夫婦で、わが子の将来を見据えた話をするチャンスなんです。
小学4年時に発覚!「パパも同じ意見じゃないの!?」思い込み事件
わが家ではこんな事がありました。子どもが5歳くらいの頃、テレビで中学受験のドキュメンタリーをやっていました。なにげなく見ていた夫が「大変だけど、この辺の中学って今ひとつだから受験もありだよなぁ」とつぶやきました。私も「まぁまだ先のことだけど、一応受験するつもりで考えていたほうがいいよねぇ」とのんびり答えました。
さて子どもが小学校3年生になり、中学受験に向けて私が塾の案内やパンフレットを並べているのを見た夫が一言。
「えー、中学受験させるつもり? いやー男の子だから高校受験でいいでしょ」
塾案内をつまみあげてヒラヒラさせながら言う夫に、私は思わず「はぁ?」と大きな声をあげてしまいましたよ。「あの時、あなただって」と話をしても「そんな事言ったっけ?」と、記憶にないと言うではありませんか。
どうやら単純にその場でテレビを見ていて影響されただけのひと言だったんですね。つぶやきのひとつだけで私は「ウチは中学受験だ」と、自分と同じ考えなんだと勝手に思い込んでしまっていたんです。
そして実際に受験準備期間スタートと言われる小学校3年1月(塾は2月から「新4年生」と進級学年の学期がスタートします)に初めて、私と夫では子どもの進学に対して意見の違いがあるのに気づいて、お互いにビックリして顔を見合わせました。
こういう「お互いにそう思ってるはず」という思い込みはけっこうあるのではないでしょうか。
この時にようやく腰を据えて話をしました。が、「男の子は地元で育つ、受験は高校からで充分」という考えの夫と、「とりあえず受験っていうことで準備だけはしておいたほうがいいんじゃないかな~」と考えてはいるものの、もっと夫と相談したい私との間で、意見が噛み合ないわけです。
しかも塾の申込みは迫り、教育費の問題も含めて急に現実的な話となった結果、最後は夫婦喧嘩になる始末です。もっと前から、子どもの勉強、学校選び、受験や進路について、頻繁に夫と話しておくべきだったと思いました。
進路決定が迫ってからでは遅い! 話し合えるベストタイミング
子どもが小さいうちは「将来」なんてリアルに考えにくいでしょう。私もそうでした。
小学校に入る前から、あるいは低学年のうちから、酒のつまみくらいの軽い気持ちでいいんです。夫婦で話してみて下さい。
「レベルは普通でも中学から私立に入れたいかも~」
「ウチの子はおとなしいタイプだから、似たような生活環境の学校に入れた方がうまくいくかも」
「正直お金も厳しいし、それより高校受験に的を絞っていこうよ」
「サッカーとか野球とか団体スポーツの体験をさせた方がよほど将来役に立つよ、勉強は高学年になったら地元の塾で公立中学進学のために少しさせればいいじゃないか」
どんなことでもいいし、それがすべてではありません。でも、早くから「こういうのはどうかな」と進学について話し合ってみて下さい。この先、小学校も高学年となると、よりリアルに現実が迫ってきます。
いざ進路や受験準備に関わる年齢になると、両親の意見が食い違う場合、お互いに冷静に話しづらくなる場合もあります。リアルに迫ってくると、母親の方はママ同士の情報に流されやすくなります。
「あの子も受験するらしい」「行く予定の公立中はけっこう荒れてるらしい」等、定かではない些細な情報でも、子どもの年齢があがるにつれて揺れ動きます。夫は夫で雑誌やネットで見たり、同僚の話を聞いて、また別の意見に影響されます。
子どもが、大変よくデキる子ならいいです。ものすごいデキる子なら、親の意見云々以上に「どうするか」は決めやすい。
ところが困ったことに、「どうも頑張れば受験もできそうだ」くらいのギリギリラインというのが多いんですよ。成績トップ層とそうでないランクの間の「中間層」が一番多いし、中間だからこそ進学の決定打がわかりづらい。
だから余計に夫婦の話も「無理させなくても」「ちょっと頑張れば出来るのに」と混乱します。
子どもが保育園や小学校低学年のうちならまだ、ずっと先のことだからこそ、お互いに気楽にちょっとした夢みたいな話として、話し合いやすいはずなんです。でも、ここで話してみておくことで、お互いに「あれ、相手はこう思ってるんだ」とわかります。
お互いの教育バックグラウンドを知ると理解しやすい
気楽に話すきっかけとしては、まず相手が実際に受けて来た教育や進路をよく聞いてみるという方法もあります。知っているようで知らない、相手がどういう環境で進路を選び、教育をうけてきたか。出身校も含めてどれくらいこだわりがあるか。両親に勧められた進路のレールに乗った人、反抗した人、その結果をどう思っているかを改めてお互いに話してみると、バックグラウンドがわかります。
「お義母さんは教育ママだったの?」
「毎日塾通ってたけど実はサボってばかりいたな」
「母親が熱中していたからヴァイオリンとピアノをやっていたけど、本当はバレエがずっとやりたかった。子どもには好きなものをやらせてやりたい」
進路だけでなく、子どもに何を学ばせるべきか、習い事はどうするのか、好きなことを見つけられるような育て方ってあるのか。自分たちの育ってきた体験を伝え合うだけでも、「そういう風に育てられ、だからこういう考えなんだ」と驚くかもしれません。
通信簿や成績、さらには塾で偏差値や順位が出るような年齢になると、そればかりに集中してしまい「子どもはこんな風に育てていきたいね」という子育ての根っこの話がしづらくなってしまうんです。結果や数字が生々しくて、目の前しか見えなくなってしまうもの...... 子どもが小さいうちだからこそ、長い目で見た教育論がしやすいのです。
生まれた瞬間には、「とにかく健康でケガもせずに育ってほしい」それだけを願うものです。でも子どもの成長と共に、必ず親にも欲や希望や夢を託してしまいたくなる瞬間はきます。
親のエゴだけで子どもの将来へのレールを決めつけないためにも、大切なのはパパとママでよく話し合うことです。それは、気楽に話しやすい、子どもが小さいうちこそがチャンスだと私は思います。
【ライター 大橋 礼】
年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌! 本とお酒があればよし。
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