モテない慶応男子が、子宮頸がん検診を受けに行ってみたら

カーテンを開けると、内診台がありました。

初めまして、慶應義塾大学2年生の和田吉平です。

僕には、最近とてつもなく大きな悩みがあるのです...。

それは、大学生なのに「彼女がいない」ということ。

僕も大学生になったら、みんなと同じようにスポーツや勉強、そして恋愛(!)に時間を使って青春を謳歌するはずだったのですが、どこで間違えたのか全く彼女ができる気配もなく大学の1年と半年が過ぎてしまいました。

そこで、僕は周囲の慶応ボーイズに聞いて、「女性の相談に真摯に対応出来る人」がそこそこモテる人だとわかりました。確かに、デートでは会話が大事。相手の悩みに光を当てられる存在になれば、距離もグッと近くなります。

では、どうすれば良いのか。まずは「悩みに答えられる」ようになるよう女性特有の悩みについて勉強してみることにしました。

「シキュウケイガン」との出会い

そもそも「女性」についての知識は、中学の時に学んだ保健の授業止まりです。そこで、所属しているテニスサークルの先輩に相談してみました。

するとたまたま先輩が「女性医療についての啓発団体があるから相談してみれば?」と、女性医療啓発団体である一般社団法人シンクパールを紹介してくれました。

シンクパールでは、代表の難波美智代さんを中心に女性の「子宮頸がん」検診の普及活動を行っていました。

シキュウケイガン...。

今では、すらっと書いてしまっている僕ですが、この時子宮頸がんについての知識はもちろんゼロでした。ニュースで少し、聞いたことがあるな、くらいでした。

学んだ知識を少しだけここで紹介したいと思います。

子宮頸がんとは、子宮の入り口部分から発生することが多いがん。HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が主な原因とされます。

僕の同世代である20~30代前後の人のかかる率が高いがんです。しかし、検診をしっかりして早期発見できれば比較的治療しやすいとも言われています。

それにもかかわらず、厚生労働省によると子宮頸がん検診は、OECD(経済協力開発機構)加盟国30カ国の中で最低レベルに位置しているそうで、アメリカの検診受診率が80%台なのに対し、日本は20%台でした。

探究心が人よりも高い僕は、「検診に行くこと」を実際に体験したくなりました。なぜこんなに命に関わる大事なことなのに、検診率が低いのかも興味がありました。

和田吉平

医療法人社団同友会にご協力いただいて、婦人科検診車に乗らせていただきました。

和田吉平

早速乗車し、入ってすぐの待合室で検診の流れについて担当の方から検診についての説明と問診を受けます。

和田吉平

問診ではプライベートな質問も多いそうで、問診を他人に聞かれないようにと、待合室にはかなり大きい音量でBGMが流れていました。そして前の人の検診が終わると、更衣室に通されます。

和田吉平

更衣室で服を脱ぎ検診の準備ができると、担当医師の方に呼ばれてカーテンの先へ進みます。

カーテンを開けると、内診台がありました。初めて内診台をみたのですが、その存在感に圧倒されてしまい、本当にびっくりしてしまいました。

和田吉平

ここで、初めて僕は「モテたい」という軽い気持ちがきっかけで、この場に足を踏み入れてしまったことを反省し、後悔します。恐怖や緊張、恥ずかしさと闘いながら、自分の身体のために検診に来た女性たちに失礼なのではないかと思い始めました。覚悟を決めて、内診台に近づきます。

内診台は、腰から上の体を乗せる椅子の部分と、太ももを乗せる台の部分の2つからできています。そして、その開脚部分を照らすための照明器具がセットになっています。

椅子には様々なコップがついており、そこに温水を入れて検査器具を温めておくことで被検診者に優しく検診を行えるようにしているとのことでした。そのほかにも、出血時の血で検診車が汚れないように受け皿がついているなど、様々な工夫が凝らされていました。

さらに、腰から下はカーテンで区切れるようになっており、プライバシーに配慮された設計、被検診者に優しい設計になっています。プライバシーに配慮した設計といえども、内診台にはかなりの威圧感がありました...。

内診台に圧倒されつつも、とにかく座ろうということで、内診台に座ってみました。座ってみると、改めてとんでもない開脚度合いになってしまい、戸惑いを隠せませんでした。

和田吉平

実際にはカーテンが閉まっているのでこのような状態にはならず下の写真のようになります。

和田吉平

そのまま、いよいよ検診!となるわけですが、僕は男性なのでここで体験終了となりました。

実際には、クスコと呼ばれる医療器具を用いて子宮頸部の細胞を採取し検査機関に送ります。検診自体は約5分程度で終わり検査結果は2週間程度で伝えられます。

そして僕は、「モテた」のか?

知識をつけるだけでなく、検診車にも乗って実際に検診する人の気持ちにもなった僕。様々な場面で女友達に早速この話をしてみます。

果たして僕の知識にドン引きするか、それともモテるのか。

結果は、どちらでもなかったのです。

意外なことに「子宮頸がん」について彼女たちはあまり知りませんでした。以前の僕レベルの子までいたのです。これがまさに検診率を下げている要因の1つなのではないかと考えました。

驚いた僕は、彼女たちの年代がまさに子宮頸がんのリスクがあること、今から検診に行くことはとても重要なこと、検診は怖いし緊張するけど、それを配慮した工夫がたくさんされていることを熱く語っていました。そして、怖ければできるだけその恐怖を取り除けるようにどういうことが行われるのかを詳しく説明しました。

もうそこに「モテたい」という気持ちはなく、必死に彼女たちにこの事実を伝えようとしている自分だけがいました。

彼女たちの中で検診をまだしたことのない子は、必死にネットで検診を受けられる場所を探していました。子宮頸がんについてそもそも知らなかった子は、産婦人科に相談することを決めました。

現在僕の隣に、「彼女」はいません。でも、前よりもなんだか気持ちは晴れやかです。もし将来、僕に彼女ができたら、奥さんができたら、娘ができたら、この知識についてちゃんと伝えるつもりです。

それを伝えられるか伝えられないかは、「モテる」ことよりも何倍も重要だということに気づかされたのです。

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