スマホやソーシャル、動画などがさらに盛り上がるだろう2015年のメディアづくりに向けて、そのヒントになるようなデータを10個紹介します。調査の規模や手法は異なるものですが、メディア環境の傾向や側面を捉えることができるかと思います。
1. PC/スマホのネット、アプリ利用者の増減
PCとスマホでのネット利用者に関しては、PCが5200万人、スマホが4260万人ほどとなっています。PCは利用者が8%減った一方で、スマホについては34%も増加。PCとスマホで、YahooとGoogleの順位が変わっているのも情味深いです。
また、スアホアプリをみると、月間3000万人以上のユーザーが利用するLINEが圧倒的です。昨年比でも46%と、ほぼ2倍になっています。Googleのアプリが強いこともわかりますね。
アナリストの方によれば、16歳~49歳に世代を絞ると、スマホの普及率は70%にもなるのだとか。一方で50代以上は17%とのことなので、この市場とどのように捉えていくのかは重要になってくるのでしょう。
2. スマートフォン保有率と利用カテゴリ
10〜20代のスマホ保有率はすでに伸びきっている感があるものの、40〜50代は10〜15%ほど増加しているので、2015年もしばらくは伸びていくのでしょう。
また、ニールセン独自の15カテゴリのうち、9カテゴリでスマートフォンからの利用者数がPCからの利用者数を超えています。たしかに、Eコマースや旅行、ファッション、ファイナンス、教育などなど、ウェブサービスやスマホアプリでも盛り上がっている分野とリンクしますね。
3. スマホアプリと利用時間
まず、スマートフォン利用時間全体のうち、アプリからの利用とWEBブラウザからの利用をみると、アプリの利用時間がWEBブラウザの約2.5倍、全体の72%を占めるとのこと。若いほどアプリをダウンロードして、利用時間も長いですね。
また、1ヵ月に1回以上利用するアプリの数は、一人当たり27個。月に10回以上使用するアプリの数は9個となっています。これはKDDIのsyn.(シンドット)構想でも似たようなデータがあり、38個ダウンロードしていて、普段使いするアプリは8個といったデータでした。
4. ニュース・キュレーションアプリの利用者数
ニールセンの「ニュースと情報」サービスカテゴリー全体では、スマホ利用者が3900万人を記録。スマートフォンから利用時間もPCからの利用時間を超え、1ヵ月に3時間11分の利用時間とのこと。
2013年に続き、多くの話題を提供したニュースキュレーションアプリについては、スマートニュース、グノシー、ヤフーニュースがそれぞれ2〜3倍にユーザーを伸ばしていることがわかります。一方で、意外だったのは、この3サービスで重複ユーザーがわずか15万人だったこと。単独利用率はスマートニュースが73%で1位となっています。
5. ネット動画のシェア/スマホ動画視聴
IMJが実施した「インターネット動画の視聴・シェア実態調査」では、キュレーションきっかけでの動画視聴も多くあり、自発的な検索もそれなりの数字。ネット動画視聴タイミング1位は圧倒的に「自宅で暇な時」だそうです。
動向としては、まだネット動画はパソコンでの視聴が主流で、視聴時間は若年層ほど、そして男性が長いそう。また、スマートフォンやタブレットでの動画視聴はPCの場合よりも短く、視聴時間帯は20〜21時台が約半数、22〜23時台も4割以上とのことです。
6. 通勤時間の動画視聴
電車の乗車時間に占める動画視聴はおおよそ3割くらい。具体的な動画コンテンツとしては、アニメ、ドラマ、お笑い、バラエティー、スポーツ、報道/ニュース、といったカテゴリーが多くを占めるデータとなっています。
7. 国内動画広告の市場
サイバーエージェント社が実施した国内動画広告の市場調査によれば、2014年の動画広告市場は300億円以上と、前年比え約2倍に拡大。 2017年には2014年から約5倍の880億円となり、スマホ比率がPCを超える予測となっています。
8. スマートフォンとライフスタイルの変化
ジャストシステムがおこなった『スマートフォンとライフスタイルの変化に関するアンケート』から、スマートフォン利用後のいくつか特徴的な要素を挙げてみます。
- 「雑誌を読む時間が減った」(40.8%)
- 「テレビを見る時間が減った」(34.9%)
- 「新聞を読む時間が減った」(32.6%)
それぞれの項目で、どの年代が多いのでしょうか。50代が紙雑誌から離れていることを示唆するようなデータとなっています。
- 「雑誌を読む時間が減った」(50代、48.7%)
- 「テレビを見る時間が減った」(10代、49.4%)
- 「新聞を読む時間が減った」(50代、39.3%)
- 「パソコンの利用時間が減った」(27.7%)
ほかにも、広告やすきま時間に関するデータも出ています。
- 「雑誌の広告を見る機会が減った」(33.1%)
- 「テレビのCMを見る機会が減った」(30.7%)
- 「注文したものを待つ時間を埋められるようになった」(62.2%)
- 「電車を待つ時間を埋められるようになった」(59.9%)
- 「アプリでのゲーム利用」(65.3%)
9. スマートデバイス時代の広告・情報意識
20~34歳の女性は、1日60分以上スマホで「検索・情報収集・サイト閲覧」する、といったデータが出ています。同男性は50分程度です。
また、オンラインメディアに求める特性も発表されています。
「情報が早くて新しい」(39%)、「知りたい情報が詳しくわかる」(33%)、「わかりやすく伝えてくれる」(31%)、「役立つ情報が多い」(30%)、「情報が信頼できる」(27%)、「自分に関心のある情報がまとまっている」(27%)といった順番。速報性や解説が求められているのかもしれません。
10. 2014年のSEO動向と2015年の動向予測
2014年のSEO動向が上のチャートです。アウンコンサルティングは以下のように2014年の主な出来事と、2015年の動向予測を発表しています。
2014 年の主な出来事
- Author Rank(オーサーランク)の終了
- ハミングバード(キーワード単体ではなく文章構成で評価されること)
- SNS に対する評価(Facebook の「いいね」の数や Twitter のフォロワー数などが、検索順位に影響を与えることはないとGoogle は正式に発表)
- SSL認証(Googleは、SSL 認証をランキングシグナルに利用すると明言)
2015年の予測
- スマートフォンへのSEO施策(GoogleはFlashの使用やスマートフォンサイトへの適正なリダイレクト方式の未対応、スマートフォン向けサイトへの最適化をしていないことに対して規制を加えると明言)
- コンテンツの重要性(Googleは、コンテンツのコピーやオリジナリティに欠けるサイトへの対策を一層強化。あくまでも、SEOのためだけではなく、ユーザー視点で価値があり、オリジナリティがあるコンテンツの充実が本質的なサイトやコンテンツ価値の向上につながるとしています)
以上、これからのメディアづくりのために押さえておきたいスマホや動画などについてのデータを10個紹介しました。なにか参考になるものが見つかりましたら嬉しいです。
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(2015年1月7日「メディアの輪郭」より転載)