ナイジェリアには、弁護士という名の詐欺師がいる

「最後のフロンティア」と言われ、官民あげて日本からの進出が促進されるアフリカですが、腐敗が激しい国ではどんなことが起こり得るのか、ナイジェリアで遭遇した手口の数々に関する話を続けます。

「最後のフロンティア」と言われ、官民あげて日本からの進出が促進されるアフリカですが、腐敗が激しい国ではどんなことが起こり得るのか、ナイジェリアで遭遇した手口の数々に関する話を続けます。

ナイジェリアでは、日本人に限らずトラブルを起こされ、恐い目にあったり、身ぐるみはがされて侘しく帰国した人、撤退した企業も多いのです。

税関で積荷が盗まれて、弁護士は「税関を訴えれば1年以内に解決する」と楽観的でした。それがいつしか7年に。勝訴寸前に漕ぎ着けてからでも4年以上、着手金や経費を払っている自分の弁護士が足を引っ張るのです。

まず、ナイジェリア税関の窃盗が発覚した後、会社の法務をしていた弁護士は電話に出なくなりました。

次に、ナイジェリア日本協会(商工会議所の前身)にいた女性弁護士に依頼すると、露骨なまでに窃盗犯側に有利な動きをし、警察の捜査報告書に事実と異なる内容があるのに、それを押し付けてきました。その後、急に金満になってロンドン旅行へ行き、連絡不能に。

そこで、夫と同郷の弁護士に依頼しましたが、遅々として準備が進みません。警察の捜査報告書から3ヶ月以内に提訴しないと、訴えることもできなくなってしまいます。「発電機の燃料をくれ」など、せがまれるままに届けました。

ラゴスでは電気が来るのは1日平均せいぜい1~2時間、場所によって2~3週間こないこともあり、発電機に頼る生活です。

提訴はギリギリ間に合いましたが、弁護士宅での打ち合わせで出されたナイジェリア料理を食べるたびに夫が体調を崩し、病院に駆け込みました。油と唐辛子の多い激辛料理で、胃潰瘍が悪化したのだと思いました。

法廷が始まると、事務所のトップから若手まで露骨に背任し続けました。

(写真はウィッグをつけた弁護士。上級弁護士になると肩より下までのウィッグになります)

 ・書類を期限内に作成せず、罰金を課される。

 ・わざと書類に間違いを盛り込み、訂正で何ヶ月も浪費。

 ・訴訟書類で段落の位置を入れ替え、内容を改変。

 ・犯罪者側に不利な答弁をする場面になると、つっ立ったまま口をきかない。

 ・法廷当日の朝、迎えに来てくれと懇願し、行くと2時間バスルームに篭ったまま出てこず、遅刻して法廷が延期。

 ・添付書類から重要なものを抜き取り、それを相手方にリーク。

 ・「出張中」「病気」などと称して、出廷しない。

 ・こちらの携帯を勝手に見て連絡先やメールをチェック、などなど・・・。

判事も法廷に来なかったり、必要以上に間隔をあけて長引かせます。思い余って、首都アブジャの著名な上級弁護士に依頼しました。

しかし、上級弁護士も訴訟手続きの知識を悪用してこちらを罠にかけ、訴訟が棄却されそうな状態で1000万円以上の請求書を送りつけた後、電話に出なくなりました。後日、事務所を訪ねると拡張・改装してあり、ちょうど外出から戻ってきた上級弁護士はこちらを見て凍りつき、裏口から逃走しました。

ナイジェリアの弁護士は背任が基本。数多くのトラブルに襲われて10件以上の訴訟を抱え、何十人もの弁護士と接しましたが、みんな同じでした。旅費の二重請求や、出張したと言いながら実は行ってなかったこともありました。係争事件になると相手方から袖の下をもらい、依頼人を放置して電話に出なくなり、若手の担当弁護士なら独立開業。場合によっては、依頼人の毒殺もあるというのです。

弁護士宅で食事した後、夫が病院に駆け込んだのは胃潰瘍ではなく、毒物だったと後になって医師が教えてくれました。ナイジェリアでは毒物が蔓延しており、食べ物に入れるタイプのほか、皮膚から吸収させるタイプもあり、握手も危険だというのです。

注目記事