【東北から九州へ】仮設校舎で学ぶ宮城県の中学生たちが「くまモン」掲げ、義援金集め

地震があった翌日に生徒たちから「熊本に何かできないか」という声が上がったという。東日本大震災時のお礼をしたいというのが理由だった。

東日本大震災で被災し、今も仮設校舎で勉強を続ける宮城県の石巻市立渡波中学の生徒達が九州での地震を受け募金を始めた。

中学3年の男子生徒が「なんかやろうぜ!」と仲間達に呼びかけ、コピー用紙の空き箱で即席の募金箱を製作、熊本県のマスコットキャラクター「くまモン」のイラストを織り込んだポスターも作り、下級生と共に校内で義援金集めを行った。熊本県で震度7の地震が発生した翌日の15日のことだ。

渡波中での募金集めを知らせてくれたのは、同中学校教諭の房間一樹さん。堀がナビゲーターを務める東京のFM局、J-WAVE「JAM THE WORLD」宛に写真と手紙を送ってくれた。

実は今年2月上旬、房間教諭から生徒たちに「働くこと」について講演をして欲しいと依頼があり石巻を訪ねた。僕がNHK時代に共に取材を重ねたカメラマンの先輩が房間教諭と大学時代からの友人だったことから縁が繋がった。

渡波中学校は東日本大震災による津波で校舎が被災。震災から5年が経った今も生徒たちは仮設校舎で学んでいる。

学校では毎年、中学2年の生徒たちが教師や保護者の前で「決意の一文字」を掲げ将来の夢や目標を発表する「立志の会」という行事を行っている。

150人の生徒たちが体育館のステージに並び、『「親」、誰にでも親切になれる大人になりたいです』『「救」、人々を救う立派な看護師になるために日々努力したいです』などと一人一人が大きな声で目標を宣言した。

その生徒たちがこの春進級し、3年生になった。

今回、熊本を始め九州で被災した人たちに向けた義援金集めでリーダーシップを発揮したのは僕に「将来は消防士になって人の役に立ちたい」と教えてくれた男子生徒だった。

房間教諭によると、地震があった翌日に生徒たちから「熊本に何かできないか」という声が上がったという。東日本大震災時のお礼をしたいというのが理由だった。

渡波中学校を訪ねた際に、校長先生や先生がたからこんな話を聞いたのを思い出す。

「普段はちょっと心配だなと思っていた若い先生が、あの震災の最中、必死に地域の被災した人たちのためにトイレの穴を掘ったり、相談に乗ったりと家にも帰らず支援活動を続けていました。やっぱり教師なんだなと涙が出る思いでした。子供たちは大人の姿を黙っていてもよく見ているものです。震災を経験した子供たちだからこそきっと将来この街を支えてくれる。成長が楽しみでもあります」。

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