国際レコード産業連盟(IFPI)は、世界各国で毎週金曜日を新作リリース日に統一する発表を行い、7月10日から実施することが明らかになりました。
金曜日を全世界でレコードリリース日として統一する動きは、音楽の世界でデジタル化が進んだことによって、ストアからのダウンロードや配信時間、プロモーションがグローバル規模に拡がったことが大前提としてあります。
さらには、世界で蔓延する「海賊行為」への対策。異なる日にリリースされることで増える違法アップロードを減らして、その結果違法ダウンロードを削減できる可能性から支持する声が上がっていました。ことです。また別の理由には、週末(金〜日)が週で最も買い物する傾向が強い事から音楽購入への意欲が高まることに期待がかかります。
これまでは国別でアルバムリリース日が異なりました。そのため一つの国でリリースされた作品が別の国でリリースされる時には、すでにネット上で違法ダウンロードされている状況が生まれてきました。
7月10日からは、深夜0:01を回った国から順番に新作がiTunesなどでリリースされる予定です。
日本はこれまで新作発売日が「水曜日」に設定されていました。IFPIには日本レコード協会も加盟しています。しかし、レコード協会から金曜日のリリース日に関する発表はまだ何もありません。
この動きによって、アルバムをリリースするレコード会社だけでなく、「音楽チャート」「メディアプロモーション」「SNSマーケティング」など音楽マーケティングの施策も大きく変わるはずです。
一方で「流通」や「チャート集計」など、従来の音楽業界のシステムで通用してきた常識が世界基準に変わることで、見直しを余儀なくされる可能性も生まれます。
IFPIのCEO、フランシス・ムーアは発表当時にこう語っています。
音楽ファンはデジタルの世界にいる。新しい音楽を見つける上で、彼らは国境なんて気にしない。ネットで入手可能になった時に手に入れたいだけだ。住んでる国でリリースされた時じゃない。グローバル・リリースデーは、他の国ではリリースされても自分の国で手に入らない苦痛を終わらせるだろう。
イギリスでは早くも業界が対応に動いています。イギリス公式音楽チャートを発表するBBCの「オフィシャルチャート on Radio 1」は、変更に伴って7月から金曜日にスロットを移動することをすでに発表しました。
ソース
(2015年4月2日「ALL DIGITAL MUSIC」より転載)