昨日まで行われていた世界選手権で、三谷美菜津選手(NTT東日本)が準決勝に進出。ロンドン五輪金メダルの李雪芮選手(中国)には敗れましたが、見事に銅メダルを獲得しました。女子シングルスの日本人選手としては、1977年の湯木博恵さん以来、37年ぶりのメダルということになります。
銅メダルを獲得した三谷美菜津選手
さらに女子ダブルスでも、前田美順/垣岩令佳組(ルネサス)が銅メダル。前田選手は3年前、末綱聡子選手とのペアで獲得した分も合わせ、2度目の銅、ということになります。
オリンピックのメダル同様、世界選手権のメダルは、凄い快挙!おめでとう!
世界選手権というのは、各種目とも本戦は64ドローで、SSの倍です。ベスト4に入るためには、世界のトップクラスを相手に4勝しなくてはなりませんから、これは大変です。三谷選手はさほど身長もなく、絶対的なショットもありません。ですがそこは、スピードとスタミナ、それに加え相手に負けない集中力で対抗して、3回戦では前回女王のラトチャノック・インタノン選手(タイ)、そして準々決勝では第5シードの韓国選手と、格上に連勝しての銅メダルですから、フロックではありません。
彼女の場合、負けた悔しさからはい上がるガッツが大きな武器であり魅力です。金沢向陽高時代は松友美佐紀選手(現日本ユニシス)になかなかかなわず、3年になってようやく勝利。全日本総合では12年、優勝を目前にしながら決勝で逆転負けし、13年に初めて日本一になりました。そういえば昨年の世界選手権では、初戦で高橋沙也加選手(日本ユニシス)に敗れています。右ヒザを痛めていた今季は、直前の海外遠征を自重し、この大会に備えていました。それが実ったわけですね。
三谷選手は高校時代から、当時から小学生として無敵だった山口茜選手の存在を知っており、山口選手の国際舞台での活躍も刺激になったはず。それにしても、日本の女子シングルスは層が厚くなってきましたね。三谷選手も、昨年の全日本総合後「いま国内では、だれが勝ってもおかしくない状況だと思います」と語っています。シングルスで代表入りを目ざす選手たちは、皆同じ気持ちでいることでしょう。リオ五輪の代表争いは、すでに始まっています。
【陣内貴美子】
1981年から12年間日本を代表するバドミントン選手として世界を舞台に活躍。とりわけ、91年の全英選手権女子ダブルスでは、バルセロナ五輪優勝の鄭素英(チェン・ソーヤン)/黄恵英(ハン・ヒー・ヤン)組に惜敗したものの接戦を演じるなど、文字通り世界のトッププレーヤーとして、高く評価された。92年、バルセロナ五輪引退後も、全国でのバドミントン講習会・講演会など競技の普及に務めている。
(2014年9月1日「陣内貴美子の気まぐれシャトル便」より転載)