東京メトロでは、大規模な改良工事や、ホームドアの導入に伴う車両の世代交代などが進められている。今回は2つの車両の話題をお伝えしよう。
■銀座線1000系の6号車を「1600形」から「1000形」に
1000系の6号車1000形(東京地下鉄提供)。
銀座線用の1000系は2011年9月に登場。東洋初の地下鉄、東京地下鉄道(のちの銀座線)1000形をモチーフに設計されている。車体は東京地下鉄道1000形のレモンイエロー、茶色を忠実に再現し、電車の存在を強烈にアピールしている。
2012年4月11日にデビュー。2013年には外観のインパクトや技術面で非常に優れていることから、鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞した。
東京メトロは、2015年6月から7月末にかけて、1000系第1~21編成の6号車を「1600形」から「1000形」に変更した(第22編成以降の6号車は新製当初から1000形)。同社Twitterによると、形式の「1000形」は1968年以来47年ぶりの復活だという。
変更の理由は、「伝統×先端の融合」をコンセプトに銀座線全線のリニューアル計画(車両更新、駅の改装など)を進めており、
「伝統」という面で、東洋初の地下鉄として開業し た東京地下鉄道1000形への原点回帰の思いも強いからだ。
現在、東京メトロは1000系の増備を進めており、長年"銀座線の顔"として活躍した01系は、2016年度でお役御免となる。
■千代田線06系フォーエヴァー
千代田線06系は、"次世代の主力車両"になれなかった(東京地下鉄提供)。
千代田線用の06系は、営団地下鉄(帝都高速度交通営団)時代の1992年12月に登場。同時期に登場した有楽町線用の07系とは、一部を除き共通設計がなされた車両である(現在、07系は東西線に転属)。銀座線用の01系から始まった「0X系」は、世代交代車という位置づけだったが、06系と07系は輸送力増強用だった。
06系は1編成、07系は2編成をそれぞれ投入し、いずれも1993年3月18日にデビュー。その後、07系は有楽町線新線(現在の副都心線)開業に伴う輸送力増強の一環として、4編成増備されたのに対し、06系は1編成のまま時は流れてゆく。
2015年8月9日、06系が綾瀬検車区から和光検車区新木場分室に回送。レールファンのあいだでは、去就が注目されていた。
東京メトロによると、06系は2015年度内で廃車となる。将来、千代田線の本線部(綾瀬―代々木上原間)にホームドアを導入するためだ。今後、"先輩"の6000系も同様の理由で再び廃車が進められ、本線部の自前車両は、2010年8月に登場した16000系に統一される予定だ。
【取材協力、画像提供:東京地下鉄】