2014年10月21日掲載の「クライマックスシリーズの廃止を」は、想像以上の反響があった。ロ野球に対する関心の高さを表すとともに、"声を大にして書いた人が非常に少ない"という事実に愕然(がくぜん)とした。野球記者やライターの多くは、この制度に賛成なのか。それとも触れること自体がタブーなのか。
■優勝チームはファンでも胃が痛い
クライマックスシリーズ賛成派の多くは、"自分が応援するチームは、優勝していない"と受け取れる。2007年以降の優勝チームは、セリーグが巨人(6回)と中日ドラゴンズ(2回)、パリーグが北海道日本ハムファイターズ(3回)、福岡ソフトバンクホークス(3回)、埼玉西武ライオンズ(1回)、東北楽天ゴールデンイーグルス(1回)だ。優勝を味わっていない、ほかの6球団の関係者やファンは、"クライマックスシリーズに賭けたい"思いが強いはず。
優勝チームの関係者やファンにとって、クライマックスシリーズは、"胃が痛くてストレスがたまる"のが本音だと思う。以前は"優勝イコール日本シリーズ"だったので、違和感を覚える人も多い。
■転載後、言論統制に遭う
私は、「クライマックスシリーズの廃止を」という記事を『Yahoo!ニュース個人』(ヤフー株式会社)に転載した。ヤフー側がすべてのオーサーに"エサ"を巻き、プロ野球記事の寄稿を期待する記述が明記されていたからだ。注記が一切なく、"どなたでも寄稿していいですよ"と解釈できる。
転載直後からアクセス数が急上昇し、個人アクセスランキング総合1位を2回記録した。読み手にとっては、この記事が現れることを待っていたのだ。先述した野球記者やライターの多くがこの制度について、なにも意見しないのだから、読み手のほうがイラついていたと思う。
翌日、案の定、同社が異議を唱えた。私は不備な点、ほかのオーサーも専門外のプロ野球や大相撲の記事があると指摘した。こういった記事が存在する以上、"公の場"を使い、上記2つを"精通した視点"で語っても問題はない。
しかし、同社は私の"仕事"を理解していなかった。契約前、「私の執筆テーマは旅、鉄道、小説、時事問題など」を申し上げたにもかかわらず、「鉄道」に固執し過ぎているからだ。
後日伺ったところ、オーサーに異議を唱えた回数は枚挙にいとまがないほどだという。オーサーの中には、"縛られる"ことに対する違和感や不満を持っていることわかる。そして、度重なる指摘に耳を傾けない者がいたので、契約解除に踏み切ったという。
お互いに意見交換したあと、同社の手により、転載記事の公開を休止する措置をとった。さいわい削除されていないので、私の手でいつでも再公開できる。
■Yahoo!とハフィントンポストの影響力
Yahoo!ニュースの影響力は、計り知れないものがある。今回、「クライマックスシリーズの廃止を」転載後、新規の仕事依頼が立て続けに入ってきた。私の転載記事だけではなく、過去の掲載記事にも目を通していたのだ。
ハフィントンポストでも、「『あまちゃん』の北三陸鉄道リアス線こと、三陸鉄道北リアス線一部区間に乗る」転載後、初めて"逆取材"を受けた。
インターネットで公開されている記事の多くは、"買わなければならない"という認識がないので、仕事を依頼する側も、"適任者を容易に探しやすい"環境になったと思う。ただし、"ものつくり"は、昔も今も手間暇かけなければならないことに変わりはない。