こんにちは、今日も3歳の息子とのウルトラマンごっこで、顔面パンチを食らってつらい駒崎です。
そろそろメカゴモラ役からは卒業したいです。
さて、
宮崎謙介議員の育休取得は「議員の評判を落とす」 自民・国対幹部が注意
ハフィントンポストがこのように報じているのですが、僕にはこの幹部が「下がっているのは、あなたと自民党守旧派の評判だよ」というツッコミを期待したブーメランを投げているとしか思えませんでした。
さらに絶望的な気分になったのが、宮崎議員のブログにあった、自民党幹部が言っていた以下の発言。
(1)40年ずっとプライベートもなしに一生懸命働いてきた我々からしたらとんでもない。
(2)取得するくらいなら夫婦どちらかが議員を辞めればいい。
(3)こんなことで名前を売ってもダメだ。生まれたばかりの赤ちゃんなんて誰が面倒みているかわからない。お手伝いさんとか使えばいいんだ。
こりゃ世界最速で進行中の少子高齢化大国になるわ、と。
まず(1)の、40年ずっとプライベートを顧みなかったのはその議員の勝手だけれど、そのライフスタイルを下の世代に強いる必然性は、全くないわけです。
会社で例えると「俺が若かった頃は、終電終わってから帰るのが当たり前だったんだから、お前も家族とか言ってないで、必死で働け」と上司が言う、みたいな。
(2)に関しては、同じことを民間で言ったらどうなるか。「育休取るんだったら、会社辞めろ」と上司が言ったら、マタハラ(そしてパタハラ)であり、言った方が仕事を辞めることになりますよ、と。
(参照:マタハラ訴訟、最高裁が初判断「妊娠による降格は均等法違反」 huff.to/1S5ATbM )
(3)については、児童福祉を全く理解していない発言で、本当にこれで子育て支援政策とか作れるのか、と。
赤ちゃんの脳は生後すぐに人間の顔を認識していて、2週間で母親の顔を好んでみるようになり、月齢4ヶ月には既に大人同様のレベルに到達していることが研究で分かっています。
(出典: stanford.io/1RIa0Hs や bit.ly/1Z76c4T )
また、ボウルヴィが提唱したように、子どもは乳幼児期に特定個人(親等)との親密で愛情あふれる関係性(愛着:attachment)を構築することで、人格の基礎を形作ります。心理学者のエインスワースは80年代に、この愛着関係によって、子どもは「心の安全基地」をつくり、それがゆえに安心して外の世界を探索し、認知を広げていける、と提唱しました。
この愛着関係がうまく育めないと、「心の安全基地」を形成できず、発達とともに様々な課題が発生します。精神障害の診断と統計マニュアルである、DSM-Ⅳに挙げられている反応性愛着障害(Reactive Attachment Disorder)はその代表的なものです。
このように、まさに、自民党幹部連中の発言を聞いていると、子どもと子育てへの理解のなさが浮かび上がります。
しかし彼は例外でしょうか。いえ、そうではありません。
彼は「普通」です。
政党の幹部となる50代以上の政治家のほとんどは、子育てに関わってきてはいません。
よって、その大変さ、そして大切さ、喜び、そうしたことに理解が及ばないのです。
彼らが作る子育て支援政策が、明後日を向くのも、必然なのです。
この一連の騒動で、自民党幹部たちは図らずも、政治家の子育てへの参画の重要性を身をもって示してしまっている、と言えはしまいでしょうか?
(2016年1月7日「駒崎弘樹公式ブログ」より転載)