今日はずっと楽しみにしていた21歳の誕生日だ。だけど今夜、バースデーショットを飲んで酔っ払わないと心に決めている(アメリカでは21歳の誕生日に、友人とともにショットグラス21杯のお酒を飲む習慣がある)。飲むとしても、親友や家族と食事をしてワインを1杯程度にするつもりだ。
6カ月前までは、誕生日に酔っぱらわないなんて思ってもいなかった。でも6カ月前にある事件を経験し、昏睡状態に陥った私は、節度を持ってお酒を飲むことがどれほど大切かを痛感した。私や家族が味わった痛みや苦しみを、他の誰にも経験して欲しくない。だから私はこれを書いている。もし私の経験を参考にしてもらえるような人を知っていたら、ここで書いたことを伝えてほしい。自分の経験が誰か一人でも救うことが出来ればとても嬉しい。
2015年7月26日、アメリカ・ネバダ州リノ。レナウン病院に搬送されて1時間後の緊急治療室で撮影した写真。完全な無反応状態で人工呼吸器で息をしていた。
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2015年7月27日 : 最初に思い出せるのは、母が私の手を握って「もう大丈夫」と語りかけている場面だ。まるで夢の中にいるようだった。視界はぼやけていた。その後の数時間、意識の境界線をさまよい続けた。24時間続いた昏睡状態から抜けだそうとしていた。
その2日前の7月25日、私は友達とネバダ州イェリントンで開催されるカントリーミュージックフェスティバルに行き、楽しい一日を過ごす予定だった。朝起きて朝食を食べた時には、悪夢のような2日間を過ごすなんて思ってもいなかった。
実際、始まりはとても楽しかった。新しい人たちと出会い、ゲームをして過ごした。夕食の後、私たちはジョー・ニコルスとジェイク・オーウェンのコンサートへ出かけた。コンサート会場ではビールを2杯飲んだ。一緒にいた人たちの多くは一日中飲んで酔っぱらっていたので、周りから遅れているように感じた。
コンサートの後、ほろ酔い気分だった私は友人からはぐれてしまった。キャンプ場に行くと他の友人グループを発見した。私はかなりの負けず嫌いだ。グループのほとんどは男性だったが、私は彼らより飲んでみせると約束した。午後11時半頃、男友達の一人と私はどちらが長くウイスキーを一気飲みできるかを競った。
2015年7月26日:日付が変わった後に起きた出来事は、何一つ覚えていない。すべて友人から聞かされたことだ。
ボトルから一気に飲み干した後、今度はグラス一杯のウイスキーを一気飲みした。
友人に「大丈夫」と言った5分後、私は倒れた。呼吸が止まっていた。友人は私を抱え、医療テントまで運んでいった。気道を確保するためのチューブを挿入され、飛行機でレナウン病院に搬送された。その間に警官が実家を訪れ、両親に病院に行くように伝えた。
急性呼吸不全とアルコール中毒で、私は危険な状態にあった。病院に着いた時の血中アルコール濃度は0.41。法律が定める基準値の5倍にもなる。全く呼吸をしていなかったため、医師は私が脳死状態であると考えた。瞳孔反応は非常に鈍く、角膜反射はなかった。軽い痛みや呼びかけにも無反応だった。
目を覚ましたのは、病院に到着してから24時間後だった。喉にはチューブが差し込まれていた。気持ちが悪かったが手が固定されていて抜けず、チューブのせいで話せなかったので気持ち悪いと伝えることもできなかった。外すためには呼吸機能検査で自力での呼吸が可能だと確認する必要があったが、最初の検査結果が悪かったので、数時間後にもう一度検査を受けた。
2度目の検査には合格しチューブは外してもらえた。しかし医者と看護婦からは「死ななかったは幸運だった。次の朝までもたないと思っていた」と言われた。一番こたえたのは「あんなに飲んで自殺するつもりだったのか」と尋ねられたことだ。
集中治療室のベッドで、アルコールを甘く見ることの恐ろしさを改めて実感した。退院した翌日には、アルコールに対する考え方がすっかり変わっていた。
入院中に受けた血液検査でできたあざ。退院後数日たった8月5日に撮影した。
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この出来事について、色々な噂が流れていた。私が薬物を過剰に摂取した、と噂する人もいたし(血液検査では薬物反応は「ゼロ」だった)、死んだと言っている人さえもいた。メールをくれた人たちの中には、体調を心配するのではなく何が起きたのかを尋ねる人たちもいた。
心配してくれる人がいる一方で、好奇心ゆえに近づいてくる人がいると学ぶことになった。本当は心配していない人たちもいたが、心から私の身体を気にかけ心配してくれる人たちがたくさんいた。彼ら一人一人には感謝してもしきれない。
アメリカ疾病対策センター(CDC)は「大量の飲酒」を、男性は一度に通常の5倍以上、女性は4倍以上お酒を飲むことと定義している。「過度の飲酒」は男性の場合一週間に15回以上で女性の場合は8回以上だ。
CDCによれば、大量にアルコールを摂取すると、呼吸、心拍、体温をコントロールする脳の重要な部分が停止し、死を招くことがある。アメリカでは毎日6人がアルコール中毒で命を落としている。私はアルコールを一切止めろと言うつもりはない。それは無理な話だ。だけど一度に大量のお酒を飲んだり、過度にお酒を飲んだりするのは止めて欲しい。全く価値のない行為だから。
それに最悪の事態を招くことがある。幸いにも、今回は私の周りには親切な人がいて助けてくれた。だけど酔っぱらって襲われることもある。「眠らせときなよ」と放っておかれてもおかしくない。私自身「寝させていたらいいよ。朝起きたら酔いも覚めているだろう」という言葉を何度も耳にしたことがある。今私が生きているのは、放っておかず助けてくれた友人がいたからだ。
酔いつぶれている人を見かけたら、放っておかないですぐに助けて欲しい。私は幸運にも完全に回復できたが、ラッキーな人ばかりではない。
節度を持ってお酒を飲み、友達が飲み過ぎないように気を配って欲しい。友人、家族、知らない人であっても、誰かがアルコール中毒の症状を見せている時には助の手を差し伸べてください。そしてアルコール中毒の兆候を知って、危険から身を守って欲しいのです。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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