ネット配信にやっと真剣になりだしたテレビ局

日本テレビが、「日テレいつでもどこでもキャンペーン」と称して、番組の無料配信を開始した。放送終了後1週間はいつでもどこでも視聴できるそうだ。朝日新聞によれば、広告を流さず配信する異例の取り組みであって、ネットへと流れがちな若い世代の視聴者を呼び込むのが狙いだという。

日本テレビが、「日テレいつでもどこでもキャンペーン」と称して、番組の無料配信を開始した。放送終了後1週間はいつでもどこでも視聴できるそうだ。朝日新聞によれば、広告を流さず配信する異例の取り組みであって、ネットへと流れがちな若い世代の視聴者を呼び込むのが狙いだという。一方、読売新聞は、日本民間放送連盟の井上会長がテレビ番組を放送と同時にインターネットで送信することを拒否しないと語ったと報じている。やっと、テレビ局はネット配信に真剣になりだした。

一方、諸外国ではネット配信は当たり前である。衆議院議員の立法活動を補佐するのが使命の衆議院調査局も、機関誌「Research Bureau論究」の最新号で、英国とドイツの公共放送を取り上げ、「あらゆる伝送路を使って放送番組を視聴者に届けることは公共放送の使命であって、インターネットの利用はその一つの手段にすぎない」という両国の見解を紹介している。

この報告によれば、英国では、BBCにブロードバンド普及で主導的役割を果たすように政府が促して、同時配信とオンデマンド配信を実施させているという。一方、ドイツでは、テレビ受信機の所有の有無を問わず全世帯に放送負担金の支払いを義務付けたという。放送と通信の融合が進み、PCやスマートフォンで放送を受信できるようになり、また受信機所有の確認もむずかしくなってきたことが、全世帯支払い義務化に動いた理由だという。

昨年12月初旬、毎日新聞などが、NHKがネットサービス充実のために受信料の全世帯義務化を計画していると報道した。1月9日に最後の会見をした松本NHK現会長は、インターネットへのサービス拡大は突き詰めると受信料の話だと、語ったとされている(NHKサイトの会長会見要旨には書かれていない)。20日には、籾井新会長が、インターネットサービスを拡充し受信料制度を見直す考えを示したそうだ。

テレビ局は二つの役割を担っている。コンテンツの制作と配信であるが、今では、電波あるいはケーブルテレビによる配信に加えて、ブロードバンドを利用できる。NHKの番組は、新旧を問わずすべて無料でネット配信するというのであれば、全世帯義務化も視聴者にとって否定すべき提案ではない。民間テレビ局も日本テレビのように動き出しているが、CM付きにすれば、できる限り大勢の目に触れることを期待するスポンサーの意向に沿う。その先で、初期登録時に視聴者の属性を把握するようにすれば、大雑把な視聴率に依存するよりも得られる情報は多い。

ここに書いたことは、BBCのiPlayerが2007年スタートであるのと比較すると、5年前、10年前の議論ではあるが、わが国のテレビ局がネット配信にやっと真剣になりだしたことは歓迎したい。

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