激しい議論が行われた行政事業レビュー

僕は、行政改革の一環として実施されている「平成26年行政事業レビュー公開プロセス」に参加している。担当は財務省・法務省・総務省で、財務省は6月12日、法務省は13日に終了した。

僕は、行政改革の一環として実施されている「平成26年行政事業レビュー公開プロセス」に参加している。担当は財務省・法務省・総務省で、財務省は6月12日法務省は13日に終了した。財務省で対象となったのは「予算編成支援システム」と「国税電子申告・納税システム」で、法務省では「検察総合情報管理システムの運営」と「外国人の出入国情報の管理」が対象となった。このうち、「予算編成支援システム」「検察総合情報管理システムの運営」「外国人の出入国情報の管理」の三事業は『事業内容の一部改善』、「国税電子申告・納税システム」は『事業内容の抜本的改善』が、レビューの結論である。結論は、来年度予算編成等に反映されることになっている。

予算編成支援システムは、各省が予算を要求し財務省主計局が査定する、予算編成プロセスで利用されているシステムである。システムの性質上『廃止』は最初からあり得ない。効率化・合理化に努めるべきという観点から、『事業内容の一部改善』という結論になった。

検察総合情報管理システムは、事件の受理から捜査・公判、刑の執行に至るまでの一連の事務について、情報の一元管理・共有のために利用されている。維持管理の膨大な予算に削減が求められ、『メンテナンスしやすい新しいシステムの構築を検討すべき』という意見を付して、『事業内容の一部改善』を結論とした。外国人の出入国情報システムも、同様に国家保安の一翼を担うシステムであることから『事業内容の一部改善』が結論である。

法務省のシステムは共に競争入札で業者が募集されているが、一者応札が続き、予算は高止まりしている。ここを捉えて、外部有識者からは『入札説明会には参加したが、応札しなかった業者に理由を聞き、改善図るべき』であるとか、『国家保安のための秘密性の高いシステムは信頼のおける業者を選定したうえで、随意契約で価格交渉を進めるほうがよい』といった意見が出た。また、検察システムについては警察と、出入国管理システムについては税関と、というように省の壁を越えて情報連携を図る必要がある、との指摘が出た。

個人・法人の多くの税務申告に「国税電子申告・納税システム」、いわゆる「e-Tax」が利用されているが、特に問題となったのは個人所得税の確定申告である。国税庁はe-Taxの利用率は向上していると説明したが、平成25年度分の2140万人の確定申告者のうち、e-Tax利用者は830万人と、半数に満たない。しかも、このうち、460万人は税務署に設置された申告書作成コーナーの利用者である。自宅等での利用については、自分で申告書を作成して郵送するという方法や税理士等に申告を依頼する方法などと、公的個人認証(電子署名書)を利用してログインしたうえで自ら送信するという方法がある。このうち、電子署名書を利用したのは70万人、つまり、確定申告者の30分の1にすぎないことが明らかになった。

国税庁は、e-Taxの利用は電子証明書の取得からスタートする、と説明している。だから、これこそがもっとも正式な利用法のはずである。一部を抜粋すると次のとおりである。

e-Taxを利用しようとする方は、電子証明書を取得していただく必要があります。e-Taxでは、電子署名と電子証明書の機能を用いて、安全に、かつ、確実に申告等データの送受信を行うこととしています。なお、電子証明書を発行する認証機関によっては、電子証明書がICカードに格納されている場合がありますので、この場合は、別途ICカードリーダ及びそれを使用するためのドライバが必要になります。

この事前手続きは面倒だ。その先に確定申告書の作成が待っているが、こちらは、この数年で簡単になった。そこに至る前の入り口で利用が阻害されているのである。レビューでも指摘があったが、紙の書類で確定申告する場合には、三文判で本人確認することもなく受け付けるというのに、なぜ、e-Taxはこれほど面倒なのだろうか。

ところで、マイナンバー制度が間もなくスタートし、マイナンバーを鍵として、行政が持っている自分に関する情報がマイポータルに集約できるようになる。社会保険料の納付額をマイポータルで照会し、それをe-Taxに自動的に転記できれば、郵送書類から転記するよりも効率化するし、間違いも減る。そのように質問したところ、「パソコン上にマイポータルとe-Taxの二画面を開いて書き写してほしい」という返事だった。国税庁はe-Taxとマイナンバー・マイポータルとの情報連携を視野に入れていないのである。

レビューでは、「マイナンバー・マイポータルと最大限連携を図る方向で、e-Tax次期システムについて検討すべき」とのコメントが添えられたうえで、『事業内容の抜本的改善』の判断が出た。

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