「自分たちも変えられる」里子ら児童福祉向上へ活動

児童養護施設や里親と暮らした経験のある日米の若者たち10人がチームを組み、ケアや制度を改善させようと活動している。米国の児童福祉を学ぶため日本から6月に渡米したメンバーは、当事者の声を制度に反映させてきた米国の現状を体感し「自分たちも変えていくことができる」と自信がついたという。7月26日にIFCAが都内で開いた渡米報告会で語った。

渡米報告会で話す畑山さん(左から2人目)、山之内さん(中央)、瀧澤さん(右端)

児童養護施設や里親と暮らした経験のある日米の若者たち10人がチームを組み、ケアや制度を改善させようと活動している。米国の児童福祉を学ぶため日本から6月に渡米したメンバーは、当事者の声を制度に反映させてきた米国の現状を体感し「自分たちも変えていくことができる」と自信がついたという。7月26日にIFCAが都内で開いた渡米報告会で語った。

 「今まで19年間社会的養護の中にいて、たくさんの人に支えられてきた。18歳くらいの時、ただ支えられるだけでなく、自分が誰かを支えられるようになりたいと思った」。

 乳児院、児童養護施設を経て、現在は里親家庭で暮らす山之内歩さん(19)はこう話した。施設や里親への措置は原則18歳までだが、措置延長で今も里親と生活している。地元では里子同士が集まる会の代表も務める。

 NPO法人 International Foster Care Alliance(IFCA、本部=シアトル)は日米で協働し、児童福祉の向上を目指す。東京にも支部がある。米国で20年以上児童福祉に携わってきた粟津美穂さんが2012年に創設した。

活動は

①里親や施設職員向けの事業

②米国で成果のあるトラウマ治療法を日本に広める

③施設や里親のもとで暮らす子どもと自立した若者のための事業

の3本柱。

 山之内さんはこの若者向けの事業を担うチームの一員。里親家庭や施設を経験した日米それぞれ5人ずつ、計10人(19~27歳)がいる。当事者が声を発し、違和感のあった制度の改善などを目指す。

 13年には米国メンバーが来日。お互いの国の児童福祉を知ることなどが目的で、6月には日本メンバーが渡米した。

 報告会で畑山麗衣さん(22)は「米国の当事者は、自分たちの声が届き制度が変わっていると実感していた」と印象を話した。「これまで声を上げる場はあったが、どうすれば制度改善できるのか分からなかった。具体的な方法を知れたのは大きい」と成果を語った。

 米国には若者の権利を守るため、法律や政策の改善を目指す団体がある。これまで「どんな人も21歳まで措置延長できる」といった改善を実現してきたという。

 瀧澤政美さん(27)は「結果を残している人たちに会い、僕たちにもできると自信がついた」と話す。

 メンバーはこのほかにも、自分の体験を効果的に共有する方法、若者の悩みをワンストップで受け止める施設、大学が入学した当事者を支える仕組みなどを報告した。

 9月7日には米国メンバーが来日して「日米ユースサミット」を都内で開く予定。チームは日本語でも英語でも読めるブログ「MY VOICE OUR STORY」( http://ifcaseattle.org/youthandalumni/ )を開設し、措置解除の時に感じたことなどをそれぞれがつづっている。