「香川真司の終焉」と現地記者は1月移籍を示唆(藤井重隆)

マンチェスター・ユナイテッドは19日、アウェイのチェルシー戦に1-3で敗れた。現地ではチームへの批判が相次いだ。好調を取り戻したかに見えた香川真司だが、出番なし。現地では1月にチームを離れると見る記者もいる。

■為す術もなく敗れたユナイテッド

前節に香川が先発した左MFにはMFヤングが入った【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 マンチェスター・ユナイテッドは19日、プレミアリーグ第22節でチェルシーと敵地で対戦し、1-3で敗れた。香川はベンチ入りしたが出番はなかった。

 ユナイテッドは2-0で勝利した前節のスウォンジー戦に続いて、FWウェルベックをワントップ、トップ下にMFヤヌザイ、右にMFバレンシアを置いた4-2-3-1の布陣で臨み、前節に香川が先発した左MFにはMFヤングが入った。

 今節、強豪チェルシー相手にユナイテッドの守備が崩壊した。前半17分、チェルシーのFWエトオが右サイドでボールを持つと、ユナイテッドは5対3の数的優位を活かせず、中央へ切り込まれて放たれたシュートはMFキャリックに当たって弧を描き、ゴールに吸い込まれた。

 前半終了間際、チェルシーの右CKをクリアしたユナイテッドは、守備ラインの押し上げが遅れ、拾われたボールを2本のスルーパスでゴール前のエトオまで通され、追加点を許した。

 後半に入ってもユナイテッドの状況は改善されず、同4分にチェルシーの右CKでゴール前でのマークの対応が遅れ、相手DFケイヒルのヘディングをGKデヘアがこぼし、エトオが詰めてハットトリックを許した。

 ユナイテッドは同33分、途中出場のFWエルナンデスが1点を返したが反撃の狼煙とはならず、終了間際にDFビディッチが一発退場に科され万事休した。

■「今のユナイテッドには3、4人の一流選手の補強が必要」

 試合を生放送したスカイスポーツの解説者は一様に1月中の補強が急務であると指摘した。

 元ユナイテッド/イングランド代表DFのガリー・ネビル解説者は、「夏の補強失敗が今季の不調に大きく響いている。ユナイテッドは獲得を目指していた選手をことごとく取り逃した。

 ファブレガスやベインズを獲得していれば、リーグの順位も大きく変わっていたはずだ。今のユナイテッドには3、4人の一流選手の補強が必要であり、多額の資金を投じてそれを実現させれば今からでも4位は確保できる。だが、4位が遠のいている今、そのレベルの選手を獲得するのは難しい」と語った。

 元イングランド代表監督のグレン・ホドル氏は、「周囲は敗因をモイーズのせいにしているが、責任は選手たちにある。特にベテラン選手たちが不振に陥っているのが問題だ。ルーニーとファン・ペルシーが復帰すれば状況も好転するだろうが、今のユナイテッドは守備陣、中央MFに問題を抱えている」と解説した。

 2トップのファン・ペルシーとルーニーの復帰が遅れ、それが直接的な不調原因として英メディアでも頻繁に取り沙汰されている。リーグ優勝を果たした昨季、同2選手は24試合でともにプレーし、19勝4分け1敗という好成績を築いた。

 今季も両選手がプレーしたリーグ8試合では6勝2分けと無敗だったが、共演しなかった他の14試合では5勝2分け7敗と負け越している。

■「18歳のヤヌザイは効果的な動きができず、影響力を持たなかった」

モイーズ監督はエバートンを指揮していた時から、モウリーニョ監督率いるチェルシーに勝ったことがない【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 スカイスポーツのダニエル・ストーリー記者は電子版で「危機に直面したユナイテッド」と題し、「チェルシーに1-3で敗れ、首位との勝ち点差が14点に開いたユナイテッドは9年ぶりのチーム最低記録に並ぶリーグ7敗目を喫した」と伝え、香川についても言及している。

「サイドにヤヌザイ、トップ下に香川を置かず、モイーズ監督はヤヌザイにトップ下を任せ、左右にヤングとバレンシアを置いたが、創造性の無い布陣となった。18歳のヤヌザイは効果的な動きができず、影響力を持たなかった」

 さらに同記者は「香川の終焉?」という疑問を投じ、「ヤングの選出は香川の終焉を意味した。先週のスウォンジー戦で好調の兆しを見せた香川は左MFでは活躍できないが、ヤングよりはプレーの幅を提供できる選手であるはずだった。

 優先順位でヤングを下回る選手なら誰しも移籍を考えはじめるだろう。香川も移籍に目が向き始めたかもしれない」と評している。

 一方、モイーズ監督はエバートンを指揮していた時から、モウリーニョ監督率いるチェルシーに勝ったことがない。

 奇しくも、この試合でモウリーニョ監督は通算142試合でプレミアリーグ100勝に最速で到達した監督となり、2位のユナイテッド前監督ファーガソン氏(162試合)、3位に入ったアーセナルのベンゲル監督(179試合)を大きく上回った。ちなみにモイーズ監督は歴代9位で248試合となっている。

 ユナイテッドの次戦は22日にホームで行われるリーグ杯準決勝第2戦、サンダーランド戦となるが、第1戦を1-2で落としているため、絶対に勝たなくてはならない試合だ。

 同試合では再びローテーションが予想され、香川も先発する可能性が高い。今後2試合はリーグで降格争いに低迷する2チームが相手となるだけに、連勝で再び勢いを取り戻したいところだ。

【了】

関連リンク

(2014年1月20日フットボールチャンネル「ヤング先発が意味する序列の変化。現地記者は"香川の終焉"と1月移籍を示唆」より転載)

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