平成最後の就職活動が解禁された3月1日、渋谷に一風変わった巨大なキャンペーン広告が登場した。その名も「#ES公開中」。広告とIT業界の大手企業で実際に選考を通過したエントリーシート(ES)を、公開している。
就活口コミサイト「ワンキャリア」が仕掛けたキャンペーン広告。
受験する企業の数だけ書かなくてはいけないES。「学生時代に力を入れたこと」「志望動機」「入社したらやりたいこと」など、どの企業のESにも同じような質問が並ぶ。就活経験者なら、「何のために…」と浮かぶ疑問を頭の奥に押し込めながら、業界や企業が好みそうな文言を選んでESを作成した経験があるはずだ。
「ふるいにかける」ためだけに大量のESを書かせる従来の企業の採用スタイルに、一石を投じることになりそうだ。
■ESは本当に必要か?
インパクトのある黒地の大きな壁面広告は、道を行く人に「エントリーシートを大量に書く時間が、本当に就活生に必要なのだろうか」と、疑問を投げかける。
未来の日本のビジネスを担う就活生たちが
もっと自分と向き合い、将来の可能性を育てる
創造的な時間の使い方ができるように。
ワンキャリアは就職活動から、無駄や格差を無くしていく。
そのために。
ITと広告の大手10社の内定者ESは、広告に備え付けられたラックに入っていて、誰でも自由に持ち帰ることができる。
■狙いは?
キャンペーンの狙いは「就活に、透明性をもたらすこと」。
ワンキャリアのサイトでは、業界各社の内定者のESが約3万6000件も公開されている。
■学生や企業の反応は?
反応は上々だ。
若者と政治をつなぐメディア「POTETO」の代表で現役大学生の古井康介さんは「ESとかは集合知でサクッと超えてしまえばいい」。
サーバーエージェントやガイアックスも、ハッシュタグを付けた投稿で前向きな姿勢を見せる。
■就活成功はスタート?それともゴール?
現在就活中の大学3年生の男性は「学生は企業分析をして、それぞれの企業に合わせて自分をカスタマイズする。内定を取るためだけの就活対策に、8割以上の時間を割いている印象です」と語る。
「就活は長いキャリアのスタートに過ぎないのに、現在の就活は内定がゴールになってしまう。自分と向き合い、就職後も見据えた将来のキャリアを考えることに時間を使いたい」
「内定者のESを真似して選考を通過するなら、その程度のものだということ。ESなんて答えが用意されているものじゃないの?」