カリフォルニア州で公道走行テストを続けている Google の自動運転車が、バスに接触する加害事故を起こしました。Google の自動運転車はこれまで何度も事故に遭っていますが、それらはすべてもらい事故だと Google は主張していました。
カリフォルニは州当局によると、Google の自動運転車は交差点を右折するための車線に入ったものの、走行車線に戻ったところを後方から時速24kmで走行してきたバスの右側面に接触したとのこと。自動運転車が走行車線に戻った理由は、右折車線の路肩にある雨水の排水口を囲むように置かれていた土嚢が、進路を塞いでいたため。
搭乗していた Google の技術者はバスの接近を確認していたものの、自動運転モードのまま走行を続けさせ、バスに接触してしまいました。
「バスが停まってくれると思った」とは Google 技術者の弁。一方、自動運転車の AI にどんな言い分があるのかはわかりませんが、ルーフ上の360度レーダーが後方不注視だったはずもありません。もし AI が、後ろから接近する車の前に鼻先をねじ込めば相手が停まってくれると思い込んでいたのであれば、これはいわゆる "だろう運転" の典型が AI でも発生したと言えそうです。
実際のところは、こうした場面に対応する適切なプログラミングがなされていなかった可能性のほうが高そうです。それでもこのイレギュラーな場面をすべて想定しておかなければ「自動運転車だから絶対に安全」とは言い切れないことを、今回の事故は語っているようにも思えます。
不幸中の幸いといえるのが、ひとりのけが人も出なかったこと。Google はこの事故を受けてすでにバスなど大型車両の挙動に対して、より注意するよう AI プログラムを調整したと発表しています。
ただ、より注意深くするあまりさらにゆっくり走行されるようになったのでは、たまったものではありません。Google の自動運転車は、法定速度よりはるかに低速で走行して渋滞を引き起こす例が相次いでおり、2015年11月には警察による事情聴取と注意を受けるに至っています。しかし Google は「法定速度以下だから違反にはならない」としてこれを聞きいれていません。こうした対応も、周りのドライバーからすれば迷惑かつ危険な行為であり、Google が主張する「もらい事故ばかり」の一因かもしれません。
(2016年3月1日 Engadget日本版「Google自動運転車が「だろう運転」でバスに接触。幸いけが人なし、AIプログラムはすでに修正」)
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