Facebook が、ユーザーの実名登録ポリシーを緩和し、条件によって通り名での登録も可能とすることを明らかにしました。10月はじめ、複数の人権擁護団体が「実名登録のポリシーが一部のユーザーを危険にさらしている」として Facebook へ送付した公開書簡への返答で述べています。 Facebook はこれまでこうした抗議には「実名登録のポリシーはむしろユーザーを安全にしている」と回答してきました。さらに実名で登録していないユーザーを他のユーザーが Facebook に"告げ口"できるようにさえしています。
しかしこの対応では、たとえば性転換をした人などにとっては差別を受ける原因となるほか、DV やストーカー被害者には身の安全にかかわる問題となる危険性も否定しきれません。
Facebook は公開書簡に対し、今後は事情を説明する文章を添えて登録すれば通り名での登録も可能となると返答しました。これまでは友人などへの調査で確認が取れた場合のみ通り名を認めていたことを考えると、本人の説明だけで済むぶん、ハードルは低くなったことになります。
一方、本名でない、または疑わしい名前で登録しているユーザーを報告する制度に関しても、報告者に対してより詳細な説明を求めることとし、ユーザー個人のプライバシーを強制的に公に晒すことのないよう配慮していくとしています。
注意しておくべきなのは、Facebook は実名登録のポリシーを廃止するつもりはないというところ。公開書簡に返答した Facebook の副社長アレックス・シュルツは、各種ハラスメントやいじめを予防するためにも実名登録の原則は崩せないとしています。
実名登録がユーザーを危険にさらすのか安全にするのかは一概に言い切れないところではありますが、状況に応じて実名でなくても Facebook を利用できる可能性が拡がったのはユーザーにとっては歓迎すべきこと。あとはこれまでにやむなく通名で登録していてアカウントを強制停止されたユーザーが、早い時期に再び利用可能となるのを祈りたいところです。
(2015年11月2日Engadget 日本版「Facebookが実名登録ポリシーを緩和へ。人権擁護団体からの公開書簡に返答」より転載)
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