独ドレスデン工科大学とリトアニア・ヴィリニュス大学の研究チームが、鶏の有精卵にレーザーを当て、雌雄を見分ける技術を開発しました。
この技術では、孵卵器で暖めはじめて4日後の有精卵に赤外線レーザーを照射し、胚の中の血液の蛍光の具合からオスとメスを判別します。研究チームによると、380個の有精卵について試験をしたところ、93%の確率で正しくオスとメスを分類できたとのこと。
研究者は「胚の内部蛍光を使った雌雄鑑別は非侵襲性なので卵を傷つけることもなく、また機材も安価で消耗も最小限に抑えられる」。さらに「通常なら卵を暖め始めてから7日目に実施する検卵に比べ、まだ胚に感受性のない4日目で適用できるということが、動物福祉の観点にも一致するはずだ」としています。
実際のところ採卵養鶏では、生まれてきた雛をオスかメスかで選別し、卵を産まないオスの雛はそのまま殺処分に回されてしまいます。仮にオスとメスの生まれてくる確率が半々だとすると、日本では年間約1億羽のオスの雛がその場で処分されている計算です。
あまり知られていませんがオス雛の殺処分の方法は粉砕機にそのまま投入したり、ガスで窒息させたり、殻などほかのゴミといっしょに圧殺したりというもの。畜産の現場では殺処分は避けて通れないものではあるものの、レーザーによる4日目の検卵技術が普及すれば、少なくともニワトリはオスとして生まれて来る前に、痛みや苦しみを与えず天に返してやれるようになるはず。こうした技術こそ、早く安価に普及してほしいものです。
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(2016年12月16日 Engadget日本版「レーザーで簡単に「ひよこ選別」する技術が開発、暖めはじめて4日目で判別可能に。普及すればオス雛の殺処分廃止も可能に」より転載)