中国のスタートアップ Air Umbrella が、空気で雨滴を吹き飛ばす傘「Air Umbrella」を発表しました。現在クラウドファンディングサービス Kickstarter で製品化のための出資を募集しています。
Air Umbrella は、柄の先端部から水平方向に吹き出す空気で雨粒を吹き飛ばし、ユーザーが雨で濡れるのを防ぎます。濡れない範囲は本体を中心として直径約1m。
3つのサイズを用意し、女性向けで最も小さい Air Umbrella-a は長さ30cm、重さ500g。標準サイズの Air Umbrella-b は長さ50cm、重さ800g。そして Air Umbrella-c は伸縮可能な機構を備え、使用するときは80cm、収納するときは50cmに縮められます。重さは850g 。
プロジェクトの開発メンバーには北京大学で航空宇宙学の博士課程修了者も加わっており、Kickstarter でのキャンペーンを前に実働する試作品も開発済み。動作する様子は紹介動画で確認できます。
気になるのはバッテリーの稼働時間で、Air Umbrella-b および Air Umbrella-c が約30分。条件によっては通勤や通学に使えるかもしれませんが、もう少し余裕が欲しいところです。Air Umbrella-a に至っては本体の長さが短いぶんバッテリー容量も少なく、約10分間しか使えません。そのためか、Air Umbrella プロジェクトは「主に自動車で移動するユーザーに向いている」としています。
Air Umbrella を入手できる出資枠は、Air Umbrella-a が118ドル。Air Umbrella-b が128ドル。Air Umbrella-c が138ドル。
キャンペーン期間は残り9日ほどですが、目標出資額の1万ドルはすでにクリア。記事執筆時点では目標の倍となる2万ドルにまで達しています。
現時点で試作品はありますが開発にはいましばらく時間が必要で、完成品第1号ができあがるのは2015年9月ごろ。プロジェクトが滞りなく進んだとしても、製品が出資者のもとに届くのは2015年12月になる見込みです。
「もしも2015年中に出資者のもとへ製品を発送できなかった場合は、出資金額を返金する」(Air Umbrella プロジェクト)。この言葉が信用できて、なおかつ稼働時間の短さがネックにならないならば、ひとつ入手を検討してみるのも良さそうです。
なおAir Umbrella は空気で吹き飛ばすため、周囲にはかなりの雨粒が飛散するはず。人混みで使うのは控えたほうがいいかもしれません。
ちなみにAir Umbrella と同様の「見えない傘」としては、2013年1月にフランスの学生 Quentin Debaene が発表したデザインコンセプトの AIRBLOW 2050 があります。Air Umbrella との相違点は、水平ではなく斜め上の方向にエアーを吹き出すところ。デザイン的には Air Umbrella よりも洗練されており、2013年のジェームズ・ダイソン アワードにも選ばれています。
(2014年10月15日「engadget日本版」より転載)