シドニーから3大会連続で五輪に出場した元陸上選手と、一緒に考え、議論を深めます。議論は週刊誌AERAの連載で紹介します。いただいたコメントを抜粋・要約することもありますがご了承ください。
スポーツの世界で大きな問題と言えば、ドーピングです。最近ではランス・アームストロング選手がドーピング使用を認めるなど、違反は後を断ちません。そこで、今回はドーピング問題について考えたいと思います。
ヒマラヤ山脈で小さな薬草が発見されたとします。成分を調べた結果、それを飲むと身体のパフォーマンスが5%増すことがわかりました。しかも身体に悪影響はなく、自然界の物質であるため、ドーピング検査でも問題は出ないこともわかりました。
この薬草、将来的には禁止されるかもしれませんが、現状では合法とします。アスリートは、サプリメントなど、少しでもパフォーマンスが上がる可能性があるものは摂取しようとします。そう考えると、ほとんどの選手がこの薬草を使用すると考えられます。
一方で、パフォーマンスが5%向上することで、100m走が仮に0.5秒速くなったとします。すると日本記録の10秒00をもつ選手でも、9.50秒で走れるため、ウサインボルトに勝つことができます。それを聞くと、なんだかズルをしているような、卑怯な感覚を覚えます。
希少な薬草で値段が高ければ、先進国の選手しか手に入らないため不公平では、とも考えられます。でも既に、先進国でないと出来ないスポーツもありますし、低酸素室など、先進国は明らかに有利な設備も持っています。
またこれほどインパクトのある薬草だと「飲むか、飲まないか」で勝負が決まります。観客にとっては面白くありませんし、高速水着「レーザー・レーサー」のように、選手の実力以外に注目が集まる恐れもあります。また最も大事な観点は、この薬草を飲んで優勝した場合、自分はどう思うんだろうかという観点です。想像でしかわかりませんが、普通の優勝とは違う感覚が生まれそうです。
さてこの薬草、あなたは飲みますか、飲みませんか。また、それを飲むことは許されることでしょうか。理由とともにご意見お待ちしています。
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