シドニーから3大会連続で五輪に出場した元陸上選手と、一緒に考え、議論を深めます。議論は週刊誌AERAの連載で紹介します。いただいたコメントを抜粋・要約することもありますがご了承ください。
NCAA(全米大学体育協会)によると、アメリカの高校生でバスケットをしている人のうち、プロのバスケットボール選手になる確率は0.03%と言われています。日本の高校球児も調べてみないとわかりませんが、プロになれる確率はかなり低いでしょう。
アメリカではNCAA(全米大学体育協会)が、大学バスケットの大会の最中にCMを流しています。パイロットやドクターの白衣などさまざまな職業の制服を来た人たちがバスケットをしている映像が流れ、最後に大学でバスケットをしている人の内99%は違う職業のプロにならなければならない、と大きく文字が出ます。日本で言えば箱根駅伝の間のCMで今回の選手のうちほとんどは陸上のプロにはなれませんと言っているようなものですが、彼らはスポーツで人生が狂わないようにしっかりと将来を考えることが大事だと説明しています。
実際に自分が取り組んでいることで勝てる確率を知ることはいいことなのでしょうか。現実の確率を全く知らずにひたすらに時間を費やしていて、いざある年齢になってはたと気づいても手遅れになっていることもたくさんあります。私はアスリートのセカンドキャリアの支援をしていますが、引退してこんなにいろんな世界があるなら早く知っておきたかったというアスリートは少なくありません。現実の確率を知ることで、違うキャリアを選ぶきっかけになるかもしれません。
一方で、確率的には難しくても、取り組むことでもしかしたらとてつもない業績を出してしまうことも有り得ます。例えばスティーブジョブズが起業して数兆円企業を作る確率を計算していたら、とても割に合うチャレンジとは思えなかったでしょう。とてつもなく低い確率のものに生涯をかけて取り組む人がいるからこそ、素晴らしい発明やイノベーションが生まれるのだと思います。
また人生のあまりに早い時期に現実の確率を言うのは酷だ、とも考えられます。夢を見るということは、もしかしたらできるかもしれないと希望を持つことです。それがほとんど叶いませんよと、いうことで希望を奪ってしまうこともありえます。夢を持って頑張る過程で、人生で大事なものが得られることもたくさんあるでしょう。少年野球の子どもたちにプロになんてほとんどなれないんだよ、と言うのは少し酷ではないかとも思います。
夢が叶う確率を伝えるべきなのか、伝えない方がいいのか。また伝えるとしたらどの年齢で伝えた方がいいのか。皆さんのご意見お待ちしています。
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