マララ・ユスフザイさんが2014年のノーベル平和賞を受賞し、12月10日に行われた授賞式でスピーチを行いました。マララさんは「なぜ戦車をつくることは簡単で、学校を建てることは難しいのか」と述べ、発展途上国における子供の教育環境改善への取り組みを、もっと加速させることが必要だと訴えました。ハフポスト日本版でも邦訳を公開しています。
この講演に先立ち、ノーベル財団はマララさんの講演の草稿を発表。本番のスピーチは日本時間の11日未明に行われましたので、朝日新聞や読売新聞などは草稿を要旨として、この日の朝刊に邦訳を掲載しました(その後、インターネット版の記事では、改めて全文を掲載するところもありました)。
マララさんは、ほぼ草稿に沿った内容で本番のスピーチを行いました。しかし、実際に話した内容には草稿の印象を変えてしまうアドリブが追加されていたのです。
「世界の指導者たちは、発展途上国の子供たちには読み書きなどの基本的な教育だけで十分だと思わないでください。自分たちの子供には、代数や数学、科学、物理などの宿題をやらせていますよね」
目の前にいる約1000人の聴衆は、立場のある大人ばかりでしょう。そんな方たちに向かって、マララさんは皮肉を言う。教育は大切だ、大切だと言ってはいるが、行動が伴っていないではないか。自分たちのことしか考えていないのではないか。言葉だけでは十分ではないのだと、マララさんは厳しい表情で指摘します。
マララさんが世界の指導者たちに「自分たちはどうなんだ」と問いかけるフレーズは、他にもあります。
「もはや世界の指導者たちに、教育がいかに大切なのかを説くときではないのです。彼らは既にそのことを知っており、自分の子供を良い学校にいれています」
こちらの文章は草稿にも書かれており、アドリブで追加された内容よりも前に話されていました。この内容から2分も経たないうちに、マララさんはアドリブを追加したのです。
スピーチは持ち時間が決められており、後半の部分には、草稿には存在するものの実際はカットされた箇所もありました。にも関わらずマララさんは世界の指導者たちへの問いかけを追加した。教育の格差に対して忸怩たる思いを持つ彼女の見ている現実が、垣間見えた気がしました。
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