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「福岡移住はベストチョイスだった」|カズワタベの働き方と選択

フリーランスのプランナー・ディレクターとして活躍し、「東京・福岡の2拠点生活」を始めたカズワタベさんへのインタビュー。福岡に移住した動機、働き方、そして熱視線を浴びる福岡の現状について伺いました。

フリーランスのプランナー・ディレクターとして活躍し、「東京・福岡の2拠点生活」を始めたカズワタベさんへのインタビュー。福岡に移住した動機、働き方、そして熱視線を浴びる福岡の現状について伺いました。

■ 福岡移住を決断した美男

ちょっと感度の高いWEB業界人ならば、シンプルながら、面白い切り口で話題を集めたこのサービスをご記憶なのではないだろうか。

このサイトの企画・立ち上げを行なったのが、今回お話を伺ったカズワタベさんだ。まずは簡単に彼の略歴をご紹介しよう。

音楽大学を卒業後、ギタリストとしてインディーズでアルバムをリリースした経験を持つという一風変った経歴を持つワタベさん。

だが、インターネットとの付き合いは音楽歴より長かったとか。「ユーザーとしてウェブサービスなどを使っていく中で、作り手側になってみたいという思いは、ずっと昔からあった」という彼はTwitterで知り合ったメンバーとともに『Grow.Inc』を共同設立。2011年にソーシャルパトロンプラットフォームGrow!(現hopp)をローンチしている。

2013年からは独立し、フリーのプランナー・ディレクターとして、様々なプロジェクトに参加している彼だが、昨年末から生き方・働き方を一変させる選択をしたという。

「東京・福岡の2拠点生活」だ。

国家戦略特区にも指定され、WEB・IT・ゲーム業界で最も注目を集める地方都市・福岡に居を構えながら、ヒト・モノ・カネが集中する東京で仕事を獲得するカズワタベ氏。

彼はなぜ、2拠点生活を始めたのだろうか?フリーで活躍するクリエイターの働き方と選択、そして熱視線を浴びる福岡の現状について伺った。

■ 福岡はフリーのプランナーにとってのユートピア?

― さっそくですが、どうして2拠点生活を始められたんですか?

東京の環境が肌に合わなかったというのが大きいですね。僕は生まれが長野なんですが、親が転勤族だったため、新潟、栃木、山形...と、地方都市を転々としてきました。そんな自分にとって、東京は街の規模が大きすぎて、どうしても馴染めない感覚がありました。そんな中、福岡や京都など国内の地方都市への移住を検討し始めました。

― その中で福岡を選ばれた理由は?

女の子が可愛いから(笑) というのもひとつの理由ですが、一番大きかったのは福岡の"住みやすさ"です。

中心部でも家賃が安い、街がコンパクトで移動が楽、東京に比べて人が少ない、ご飯が美味しくて安い、郊外の自然へのアクセス性が高い、空港が近いなど、生活する上での細かいストレスをなくしてくれる要素がたくさんあります。

あと移住する前に2回遊びに行く機会があったんですが、その時、地元の人からすごく歓迎されたんです。街を案内してもらったり、美味しいものを食べさせてもらったりして、福岡がどんどん好きになっていきました。

今でこそ福岡の人たちにとってはそれが当たり前だと分かるんですが、来福した人たちに、とにかく「福岡好きになってもらおう!」という気持ちが強いんですね。そういう地元愛からくるコミュニケーションの温かさも、福岡を気に入った理由のひとつです。

― 福岡市は国家戦略特区に指定されるなど、特にWEB・ITのフィールドで働く環境が整い始めていますよね。仕事という点も移住を後押しする要素になったんですか?

僕はちょっと特殊な働きかたをしているので、移住にあたって仕事のことはあまり考えませんでした。直接の打ち合わせ以外は、東京のクライアントの仕事を福岡でもできるのが大きかったですね。実際いま福岡に移住して4ヶ月程ですが、福岡での仕事は増えてきたくらいです。

遠隔である程度仕事ができるフリーのプランナー・ディレクターからすると、仕事上で福岡に拠点を持って東京の仕事をするのってリスクはそこまででもありませんでした。

東京まで飛行機で2時間かかりませんし、LCCのような安価な航空会社で早めにチケットを取れば往復2万円で済みます。市の中心部に住んでも、東京の都心近郊と比べて家賃はだいたい半額になりますので、その分で十分負担できる範囲です。

最近は8:2か、7:3くらいの割合で福岡の方を多めに過ごしています。企画や制作に集中したいときは、福岡の住みやすい環境で穏やかに生活する。一方で定期的に東京に来て刺激的な情報や人との出会いを補完して、といった感じです。福岡に移住したことで、その割合をコントロールできるようになり、自分にあった生活ができるようになりました。

■ 2拠点生活で、仕事だけでなく人生を豊かにする。

― いまどんなお仕事を手がけているのでしょうか?

九州に関わるものでは、この春北九州市の小倉駅前にオープンした「fabbit(ファビット)」という国内最大級のシェアオフィス、ライブラリ、イベントスペース、fab room(3Dプリンター等)の複合施設のコミュニティマネージャーとして、ウェブサイトの制作から運用、イベントの企画などを手がけ始めました。今後は積極的に入居者の方や、地域の方たちの繋がりを生み出す施策を行なっていこうと考えています。

その他にはウェブサイトやサービスのデザイン、制作ディレクション、広告プロモーションの企画などをクライアントワークとして手がけています。

また、冒頭でご紹介いただいた「付き合えば?」のような一発ネタのサイトや、プライベートでよく遊びに行っている沖縄の古宇利島という島の情報サイトを制作したりしています。これらはクライアントワークでなく、趣味で作ったものです。

また、直近で動いている個人のプロジェクトとしては、福岡で働く個人・ベンチャーを応援する情報サイトのデザインリニューアルしていたり、スマートフォンアプリの企画・開発を行なっているところです。アプリに関しては今年中に法人化も検討しています。

東京にいるときには来なかったジャンルの相談も増えていて、最近は福岡で働くことの面白さを感じています。

■ 外から見た福岡・内から見た福岡

― 福岡が盛り上がってる、盛り上げようという意図は東京からみても非常に感じます。実際に身を投じたワタベさんからみて、外側から見た福岡と内側から見た福岡について、どう感じているのか聞いてみたいです。

盛り上がっている、注目を集めているのは間違いないと思います。先日僕も登壇した「僕らの福岡移住計画2014 in TOKYO」というイベントも非常に多くの方が参加されていました。

ただ一方で、実態が期待に追い付いていないのではないか、とも感じています。というのも、まだまだ福岡で日本・世界に対して存在感を示せている事業会社が少ない。ゲーム業界を入れても片手で数えられる程度です。

東京と明らかに違うのは、ロールモデルが少ないことです。東京のように自分に身近な人が、起業してサービスを売却したり、会社を上場させるなんてことは滅多にないでしょうし、投資家や先輩の起業家の方たちに話を聞く機会も限られています。

個人で食べていく、もしくは小規模な制作会社を創業するにはいい環境かもしれませんが、いわゆるスタートアップと呼ばれるような急成長を目指すベンチャーが生まれる「空気」は、まだまだこれから醸成していかなければならない段階だと感じています。

ただ、今回特区に指定されたことをはじめ、市長を中心に行政が本気でこの流れを生み出そうという意気込みは強く感じています。僕自身、起業家として、また企画を得意とする人間として、福岡をより良い街、業界やそこで働く人にとっての理想的な街にできるよう、積極的に関わっていきたいと思っています。

― ワタベさんの生き方、選択は仕事だけでなく生活も含めたキャリア全体を考える読者の人にもとても参考になるお話だったと思います!ありがとうございました。

[取材・文] 松尾彰大

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