テクノロジーの発展に伴い、交通の世界は目まぐるしく進化している。自動車はますます燃費が良く、環境に優しい動力で走るようになっている。より賢く、より安全になり、軽率な運転による事故を未然に防げるようになった。ポケットサイズのコンピューターで車庫から玄関まで自動的にクルマを呼び出すこともできるし、盗まれたクルマを追跡することもできる。
人間が一切操作しなくても自ら駐車し、前方のクルマについていくだけでなく追い越しまで可能だ。しかし今後は、その進化した性能を楽しむために自分でクルマを所有する必要さえもなくなりそうだ。カーシェアリング業界もまた発展を続け、クルマの自動化が進んでいる。そして将来的には自動運転のカーシェアリングが利用可能になるというのだ。
通信関連分野の調査団体であるABIリサーチによると、カーシェアリング産業は3段階に分けられるという。まず基盤となるのが、例えばZipcarが行っているようなサービスで、決められた場所に停めてあるクルマをネットで予約し、自分で使用するというもの。さらに次の段階に進むと、Uberのようなドライバーが迎えにきて目的地まで連れて行ってくれるタクシー型のシェアリングサービスになる。
しかし、現在はこの2つのサービスが組み合わされた、さらに新しいサービスに発展しつつある。それは自動運転によるクルマが指定した場所まで迎えに来て、目的地まで運んでくれるというものだ。ABIリサーチは、2030年までにこの自動運転型カーシェアリングの利用者が4億人ほどになると見込んでいる。
必要な時にクルマを呼ぶことがどんどん簡単になるため、クルマの所有者数は減少していくことになるだろう。クルマがより効率的に使える上、保険やメインテナンス費用を節約することができるからだ。
ABIリサーチのマネージング・ディレクター兼副社長のドミニク・ボンテ氏は、「新たな形のカーシェアリング産業が完全に機能する状態になれば、自動運転型サービスは自動車業界に大きな変化を及ぼす。自動車オーナーの数は減少し、移動手段における公私の区別はなくなって人々の移動はより活発になるだろう。そして自動車業界には、新たなインフォテインメント・システムの発展と、業界全体の統合が起こるだろう」と述べている。
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
(2016年3月27日 Autoblog日本版「2030年には4億人が利用? 自動運転によるカーシェアリング時代到来の可能性」より転載)
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