障害のある人もない人も、自分にぴったりのパラスポーツ(障害者スポーツ)を見つけられるマッチングサイト「マイパラ!Find My Parasport」が19日オープンした。日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)は開発費の一部を集めるために、A-portでクラウドファンディングを実施。599人から支援があり、目標の500万円を大きく超える約611万円を集めることに成功した。
「マイパラ!」は夏季22競技、冬季5競技をカバーしており、全都道府県から計246団体が登録している。「パラスポーツ診断」では障害の種類やスポーツの好み、性格などに関する簡単な質問に答えると、ぴったりのパラスポーツを教えてくれる。「チーム検索」では、競技やエリアを選択して検索することが可能。「ボランティア募集」「初心者OK」などのタグ表示もあり、自分の条件にあったチームを探すことができる。
この日、東京都港区の日本財団ビルで開かれた記念イベントで、パラサポの小澤直常務理事は「パラスポーツの普及・拡大のためには、競技者の裾野の拡大がなにより重要。障害がある方がパラスポーツに興味を持ったとしても、どの競技ができるか、どこでできるのかを調べるのは困難な状況だった。まずは今ある情報をしっかりとユーザーに届けることが裾野拡大の一歩となる」とあいさつし、支援を寄せた599人への感謝の言葉を述べた。
パラサポによると、開発費の総額は約800万円。今後も掲載団体を募ったり、パラリンピック競技以外のパラスポーツを追加したりする予定で、2020年までに1000団体の登録を目指すという。
■現役選手らも「マイパラ!」に期待
記念イベントのトークショーには、ウィルチェアーラグビーの島川慎一(42)、パラバドミントンの杉野明子(26)、パラスノーボードの成田緑夢(23)の現役3選手が出演。日本人として初めてパラリンピック殿堂入りを果たした河合純一・日本パラリンピアン協会長(42)がモデレーターとなり、マイパラへの期待などについて語り合った。
島川選手は21歳のときに交通事故により脊髄を損傷し、車いすの生活となった。病院で陸上競技用の車いすの格好良さにひかれ、2年ばかり陸上競技に打ち込んだが、友人に誘われて試合を見たのがきっかけでウィルチェアーラグビーをするようになった。2016年のリオ大会まで4大会連続でパラリンピックに出場している。「僕が競技を始めたときはインターネットもなく、どうやって探そうかというところがあった。若い子にウィルチェアーラグビーを知ってもらいたい。そのためにマイパラをどんどん利用してもらって、ぼくらみたいな歳がいった選手を蹴落としてくれる若い選手が出てきて欲しい」
杉野選手は中学入学当初、剣道部に入ろうと思っていたが、友だちに誘われてバドミントン部を見に行き、スマッシュの音やスピードの虜になったという。「部に入るときに左腕を使えないし、みんなと同じようにできるか不安もあった。顧問の先生が『俺も一生懸命、おまえにあった練習を見つけていくから一緒にがんばって行こう』と言ってくれたのが心強かった」。マイパラについては、「使って自分にあうものを知ってもらいたい。オリンピックに出たいということではなく、軽い気持ちで『やってみたいな』と思った時点でまずはチャレンジしてほしいなあと思います」と話した。
成田選手の家族は、兄も姉も五輪に出場したスポーツ一家。自身も五輪を目指していたが、トランポリンの練習中の事故で左足に障害を負った。落ち込んで真っ暗な中にいるように感じたときにパラスポーツのアスリートと出会い、「障害があっても、スポーツを通して人に影響を与えることができる」とパラリンピックを目指すようになったという。
「パラスポーツ診断」を試したところ、スノーボードは出てこないで、馬術や陸上競技が出てきた。「パラリンピックを選ぶときに、このサイトがあれば本当に良かったと思う。すごく簡単で今ぼくがやっても、『ああ、こっちのほうが向いていたかな...』と考えさせてくれるサイトなので、今後、パラスポーツの裾野が広がっていくんじゃないかと思う」
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