「クラウドファンディング」って知ってます...よね?
「聞いたことはあるが詳しくは知らない」という方のため、念のために説明します。「こんなモノやサービスをつくりたい」という夢やアイデアのある人が、ウェブ上の専用サイトでプロジェクトを立ち上げて実現のための資金を広く募り、共感した人が少額から資金提供できる米国発の仕組みです。日本でもサイトの立ち上げが相次ぎ、最近では数千万円規模の資金調達も出てきています。
「寄付」、「投資」、「通販」......。そのどれとも違うけれど、いずれの魅力も持つ、新感覚の資金調達プラットフォーム。世界銀行が2012年に発表したリポートによると、この市場は2025年には世界で9兆円規模に成長すると予測しています。
そんな仕組みをより多くの人に使ってもらおうと、朝日新聞社は、新サイト「A-port」(エーポート)を3月25日、オープンしました。全国紙によるクラウドファンディングのサイト開設は初です。夢やアイデアを乗せた船が、帆を立てて沖にこぎ出す港(port)のようなサイトにしたいとの思いで名付けました。
たとえばあなたに、こんな夢があるとします。
「最新技術を使った新商品のアイデアをカタチにしたい」
「こんなアート作品を制作したい」
「たくさんの人が集まるイベントを開きたい」
そんな夢を実現するにあたり、あなたにはいくつか不安なことがあるかもしれません。
「見積もりを取ってみたら、用意していた資金に少し足りない」
「実際に商品が完成したら、どれくらいの人が興味を持ってくれるのだろうか」
「周囲の人以外に、実現に向けて具体的なアドバイスをくれる人がほしい」
そんなときにクラウドファンディングを使えば、あなたの夢に共感した人から、広く資金を集められる可能性があります。サイトやSNS上で支援者とメッセージをやりとりしてより具体的なアドバイスをもらえたり、支援者自身が周囲の人に資金調達を呼びかけてくれたりするかもしれません。
うまくいけば、夢の実現に必要な資金と、夢を応援してくれる仲間、その両方をゲットすることができるかもしれない仕組みなのです。
一方で、支援する人にはどんなメリットがあるのでしょうか。
ひとつは、まだアイデア段階であるプロジェクトに支援することで、目標額に達するかハラハラしながら見守ったり、資金調達後も実現までのプロセスに注目したり、応援メッセージを送ったりと、「起案者」と一緒に夢をカタチにする、という一体感を味わえる点です。
また、「購入型」と言われるクラウドファンディングサイトでは、プロジェクトごとに、支援金額に応じたリターン(特典)がある点も魅力です。例えば商品開発のプロジェクトでは、支援者はできたてほやほやの商品を市場で販売する前に先行入手できる権利や、協力者としてサイトなどに名前が載る権利、といったリターンが用意されます。「まだ世の中に存在しないものを買う」仕組みともいえるのです。
広く資金を求める仕組みですが、支援金額が目標に届かず、プロジェクトが失敗に終わる例は珍しくありませんし、募集中に何らかの理由でプロジェクトページが閉鎖された例もあります。また目標額を達成しても起案者の見通しが甘く、開発のスケジュールが大幅に遅れた例もあり、起案者は支援者としっかりコミュニケーションを取り、プロジェクトのリスクや進捗状況についてしっかり説明することが求められます。
A-portは上記の「購入型」のサイトです。プロジェクトは朝日新聞社が審査し、掲載を決めます。誰もが夢に挑戦しやすい社会をめざして、また新しいビジネスや文化がどんどん生まれることをめざして、クラウドファンディングを広めていきます。
「新しい取り組みや夢ある人をもっと応援したい」「私たちのサイトをきっかけに、人と人をつなげたい」。そんな思いから始める新サービスです。新聞社が手がけるからこそ、読み応えのあるサイトをめざします。より多くの方にお届けできるよう、朝日新聞社の関連媒体でも発信していきます。
まずは8件のプロジェクトからスタートします。ぜひ一度、のぞいてみませんか。
起案希望の方もサイトからお申し込みいただけます。
これからも、A-portやクラウドファンディングについての記事を配信していきます。
Twitter(@AsahiAport)やFacebookでも最新情報を発信しています。