こんにちは! ミャンマーの田舎町に住んでいる加藤です。
私の住む町から離れてガタガタの山道を越えると、主に農業で生計を立てている、裕福とはいえない村々が存在します。
今回は、そんな村々で私が行っている「ソーシャルビジネス」の一例をご紹介します!
またひとつ、孤立していた村の道路が整備されました
道路が整備されていないミャンマーの村々は、雨期になると道が水没したり、土砂崩れが起きたりして、孤立してしまうことがあります。
村から外へ出る道が閉ざされては、市場へ食料品や生活用品を買いに行くことができません。時に学校や病院へも行けなくなります。
▶雨で、車やバイクが通れなくなってしまった道
以前から村人たちは道を整備したいと言っていましたが、一日に何度も雨が降る雨期に、道をコンクリートで整備するのは難しく、なかなか作業が進みませんでした。
それを乾期である今の時期に作業をすることで、雨の心配もなく効率よく道を整えていくことができました。
また、別の村では橋を作りました。村に行く途中にある橋は、木を適当に並べて作っただけの物で、バイクや車が通るたびに何度も壊れていました。
そこで、木材を使って頑丈な橋を作ろうと村に提案し、村人たちと協力して壊れにくい橋ができあがったのです。
寄付じゃない、村人とともに作っていく
お金だけあげて、道を整備することは簡単です。お金をもらうことも簡単です。でも、そういった奉仕が貧しい人々の甘えを生むことがあるのも事実。
私も過去、貧しい人々が寄付を与えられることに慣れてしまい、村民が怠惰になってしまった村を見た経験があります。
ミャンマーで学校を建設しているNPOの方も、「すべてを寄付では賄わない。村人たちが自分のお金を払って、自分たちで作ったという認識が必要」と話していました。
だからこそ、私たちはお金をあげるのではなく、「村を自らの手で良くしていきたい」という彼らの気持ちを尊重し、村人たち自身でお金を出し合うようにして、村のみんなで道の整備を行いました。
他人からしてもらうのではなく、自分たちで作りあげた道を見て、村人たちはとっても嬉しそうでした。
「自分たちで改善していくんだ」、そういう気持ちが、村の発展に繋がるのだと思います。
社会問題解決が目的のソーシャルビジネス
私たちと村人は、企業と顧客の関係にあります。私たちが仕入れているセメントや木材を、道を整備するために村人が購入します。
それは、今まで関係を築いてきた私たちだから提案できたり、相談を受けられたりするのだとも思っています。
貧しいからといって、村人が顧客になりえないわけではありません。
「BOPビジネス」という言葉を世界中に知らしめたベストセラーである『ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略』の著者は、BOP(Bottom Of the Pyramid)、すなわち経済ピラミッドの底辺に位置する世界約40億人の「貧困層」は、適切なアプローチをとれば有望な「顧客」に変わる――、と主張しています。
「ミャンマーの村の問題を解決するために、私に何かできるだろうか」
そう思い、私はソーシャルビジネスに関わることにしました。
"ソーシャルビジネスと一般のビジネスの最大の違いは、その「目的」にあります。一般的なビジネスは利益を最大化することが目的ですが、ソーシャルビジネスは、「社会問題を解決すること」が目的なのです。
「ソーシャルビジネスというのは名前だけで、一般のビジネスと何も変わらないのでは?」という声がよく聞かれますが、その理由は、一般のビジネスも何らかのかたちで「人や社会の役に立っている」からだと思います。
もちろんその通りなのですが、根本的なところでそのビジネスを始めた「目的」が異なっているのです。
事業経営が外部資金に大きく依存していると、それがなくなったときに事業を継続していくことが難しくなるのは事実です。
どんな事業形態であっても、問題解決のために長期的に取り組める仕組みをつくることが大切だと言えます。"
(ボーダレスジャパンコーポレートサイトより引用)
お金も、ビジネススキルもない私をサポートしてくれたのが、今の会社の先輩や同期のみんなでした。
これからも、ミャンマーの村の問題解決のための仕組みづくりに奮闘していきます!
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ライター
加藤 彩菜/Ayana Kato
1991年生まれ。中央大学哲学科卒業。学生時代に発展途上国の貧困問題を目の当たりにし、「誰もが自分の未来に希望をもてる世界」にしていきたいと、社会問題を解決するソーシャルビジネスしかやらない会社「ボーダレスジャパン」に就職。入社8ヶ月で単身ミャンマーに渡り、新規事業立ち上げに挑む。