「保護者の負担が過重にならないよう配意を」ーー。中央区泰明小学校がアルマーニ標準服を導入する事などをきっかけに浮上した保護者の負担を巡る議論を受け、政府が2月27日までに、そんな趣旨の見解を示した。文部科学省は近く自治体の教育委員会にあてて通知を出す方針。
初鹿明博・衆院議員(立憲民主)の質問主意書に対し、23日閣議決定された政府の答弁書で、見解を明らかにした。
初鹿議員は、質問主意書で次のようにただした。
中央区立泰明小学校で、海外の有名ブランド、アルマーニを標準服に選定したことについて新聞等が取り上げ、国会で質疑が行われるなど話題となっています。
公立学校は、私立学校と異なり、入学選抜もなく、通学区域内に居住する要保護世帯及び準要保護世帯の児童が通学する可能性もあることを考えると、金銭的な負担の重い高額な標準服を選定することは不適切だと考えます。
林文科大臣も二月八日の予算委員会で「どうしたら保護者負担が過重なものにならないか、しっかりと検討して、指針のようなものを含んだ通知の発出を含めて検討して参りたい」と答弁しています。
以下質問します。
一 公立学校において、保護者負担が過重な標準服を選定することは不適切だと考えますか、政府の見解を伺います。
二 教育行政は各地方自治体の自治事務ではありますが、一部に保護者負担が過大な標準服を選定している実例があることを鑑み、国として「公立学校における標準服の選定に当たっては生活保護世帯や準要保護世帯に配慮した価格設定とする」ことを地方自治体、教育委員会に求める通知を発出するべきだと考えますが、政府の見解を伺います。
この質問主意書に対し、次のような答弁が返ってきた。
小学校などのいわゆる制服の在り方については各学校で適切に判断すべき事柄ではあるものの、その選定にあたっては「生活保護世帯や準要保護世帯」である場合はもとより、そうでない場合であってもその負担が過重なものとならないよう配意がなされることが必要であると考えており、そのような配意がなされるよう、文部科学省において、各教育委員会に対し通知の発出を含め対応を検討しているところである。
テレビなどで中継される国会審議でのやりとりと違い、文書を交わすだけの質問主意書はあまり注目されないが、国会法で定められた議員の権限だ。おおむね7日以内に閣議決定を経た政府見解が戻ってくるため、この制度を使って政府答弁を引き出す議員は多い。参議院のホームページでは、以下のように説明されている。
「国会議員は、国会開会中、議長を経由して内閣に対し文書で質問することができます。この文書を『質問主意書』と言います」
「質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています」
「委員会では、各議院規則で定められた委員会の所管事項外の場合には詳細な答弁は期待できません...少数会派の議員や会派に属しない議員にとっては必ずしも望んだ質疑時間が確保できない場合もあります」
「これに対し質問主意書は、議院の品位を傷つけるような質問や、単に資料を求めることは認められないなど一定の制約はありますが、広く国政一般について内閣の見解を求めることができます」
「答弁書は、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります」