平昌オリンピック・男子フィギュア。羽生結弦が金メダルを獲得した。2大会連覇となる。羽生は2月17日のフリープログラムで206.17点を記録。前日のショートプログラムと合わせて317.85となった。
フリープログラム、4組目。
羽生がリンクに姿を現すと、会場のテンションは、一気に高まった。
羽生は、コーチと固い握手を交わすと、颯爽と滑り出した。曲は映画・陰陽師より「SEIMEI」。NHKのアナウンサーは「魂が揺さぶられる4分半です」と期待を込めた。
滑り出しから、羽生の演技は曲と完全にシンクロしていた。
そして、ジャンプ。
4回転サルコーをきれいにきめた。そして、余裕をもって4回転トーループ。難易度の高いジャンプを連続で決めた。トリプルフリップも決め、前半のジャンプをすべて成功させた。
コンビネーションスピン、ステップシークエンスでは、神々しさすら感じさせる世界観を作り上げた。
そして後半。
「羽生の体力は大丈夫か...」
アナウンサーが心配する中、羽生は4回転サルコーからの、トリプルトーループをしっかりと決めた。
その後、4回転トーループは着氷でバランスを崩し、予定していた連続ジャンプを飛べなかった。しかし、そこで終わらないのが羽生結弦だった。
トリプルアクセル、シングルループ、トリプルサルコー。得意の3連続ジャンプで立て直す。
そして最後のトリプルルッツでも、バランスを崩して前のめりになったが、羽生はギリギリで耐え、転倒を回避した。
「これが王者です! 王者の滑りです!」
NHKアナウンサーが、そう評するほどの圧巻の滑りだった。
右足に感謝
演技を終えた羽生は、右足を気にしているように見えた。勝利後のインタビューでは「やりきれたと思えるぐらいの演技ができたのがよかったと思います。とにかく右足が頑張ってくれた」と語った。
右足に痛みがあったのかーー。心配するインタビュアーに対して、羽生はこう答えた。
「右足を触っていたのは、感謝です。感謝の気持ちだけです」
右足首のケガに悩み、4カ月ぶりに挑んだ公式戦。そんなコンディションですら「異次元」「桁外れ」の強さを見せた。羽生の到達点は、いったいどこにあるのだろうか。