アマゾンが「レジ係いない」コンビニをシアトルにオープン

「仕事奪われる」と不安の声も

レジでの支払いを必要とせず、スマートフォンで自動決済されるコンビニエンスストア「amazon go(アマゾン・ゴー)」の1号店が1月22日、アメリカのシアトルでオープンした。地元メディア「シアトルタイムズ」などが報じた。

消費者にとっては低価格の実現というメリットがある一方、レジ係の仕事を奪いかねないとして労働者側からは反発を呼んでいる。

正式オープン前のamazon go=2016年12月、シアトル
正式オープン前のamazon go=2016年12月、シアトル
JASON REDMOND / Reuters

ニューヨークタイムズによると、amazon goの店舗面積は約167平方メートル。飲料や軽食、菓子類、調味料などが棚に並ぶ。

特徴的なのは、店内にレジはなく、それを操作する従業員もいないことだ。アルコール類の販売コーナーでIDカードをチェックする担当者と、客からの技術的な相談に応じる担当者らのほかには従業員はいない。あとは店の「裏方」としてサンドウィッチなどを調理する数人がいるだけだ。

店内の様子
店内の様子
Jeffrey Dastin / Reuters

決済はスマートフォンのアプリで自動的に行われる仕組み。客が陳列棚から商品を取ると、店内に設置された無数のカメラなどでシステムが認識し、客のアマゾンアカウントの「カート」の中に自動的に入る。商品を棚に戻せばシステム上でも連動し、「カート」から消えるという。

店内ではサンドウィッチなども販売している
店内ではサンドウィッチなども販売している
Jeffrey Dastin / Reuters

客は持参したカバンなどに商品を入れ、店を出る。出入り口には地下鉄などにあるようなゲートが設けられ、商品を持ったままここを通過すればオンライン上で自動決済されるという。

amazon go出入り口に設置されたゲート。商品を持ったまま通過すればオンライン上で自動決済される
amazon go出入り口に設置されたゲート。商品を持ったまま通過すればオンライン上で自動決済される
Jeffrey Dastin / Reuters

アマゾンはこの仕組みを「ジャスト・ウォーク・アウト(歩いて外に出るだけ)」と呼んでいる。

レジの前に並ぶ煩わしさがないほか、従業員の削減で商品の低価格化も見込まれるため、消費者にとってはメリットは大きい。

だが、労働組合やライバルの小売業者にとっては脅威となるだろう、とアメリカのメディアは指摘する。

アメリカでレジ係として働く人たちは多い。アメリカ労働省によると、2016年には全米で350万人のレジ係が働いているという。アマゾンが導入した仕組みが各地に拡大すれば、こうした人たちの雇用を奪いかねないからだ。

アマゾンは食料品を扱うスーパー「ウォールフーズ」も買収し、ネットから「リアル」の小売業へと本格参入を始めた。「シアトルタイムズ」によると、アマゾンのジアンナ・プエリニ副社長はamazon go出店の目的について、「価格競争に勝つこと」と明言した。

小売業界ではこれまで度々、価格破壊が繰り返されてきたが、最先端のITをフル活用したアマゾンは既存業者にとって大きな脅威になりそうだ。

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