人気バンド「SEKAI NO OWARI」メンバーのSaoriが本名(藤崎彩織)で発表したデビュー小説「ふたご」が、第158回直木賞の候補作に選ばれた。Saoriは「驚きのあまり言葉を失っていましたが、これからゆっくりと喜びを噛み締めたいです。」とコメントした。
同賞を主催する日本文学振興会が12月20日、発表した。受賞作を決める選考会は、来年1月16日、東京・築地で開かれる。
最近では、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さんがデビュー作「火花」で2015年芥川賞を受賞したり、モデルの押切もえさんが「永遠とは違う一日」で2016年に山本周五郎賞の候補作になるなど、芸能人が文学賞で注目を集めることもある。Saoriさんってそもそもどんな人で、「ふたご」とはどんな作品なのか。
●Saoriってどんな人?
Saoriは、2011年にメジャーデビューした4人組バンド「SEKAI NO OWARI(通称セカオワ)」でピアノや作詞作曲、ライブの演出などを担当。ボーカルのFukaseが演出する独特な世界観で人気を集めるセカオワ。通称「セカオワハウス」と呼ばれる家でメンバーが同居していることも注目された。
Saoriは、2017年1月に約5年の交際を経て、俳優・池田大との結婚。8月に妊娠を発表し、11月末に休業に入っていた。
10月28日に上梓された小説「ふたご」で小説家デビュー。Fukaseから、Saoriは文章がうまいからと勧められて執筆を始めた同作は5年をかけて執筆したという。忙しい音楽活動のかたわらで書き上げた力作は約300ページの大作となった。発売するとすぐに重版が決定し、発行部数10万部を突破した。
小説家デビューに際しては、オリコンニュースに以下のように話していた。
書こうと決めてから五年もの月日がかかってしまいましたが、ようやく初小説を出版することが出来ました。登場人物と同じように苦しみ、泣き、叫びながら書き上げました
今は鍵盤とふたごのモチーフに彩られた装丁を見ながら、この本が色んな方の手に渡れば良いなあと願っております
「ふたご」は、あるバンドのデビュー前夜を描いた物語だ。いつも一人ぼっちでピアノだけが友達だった中学生の夏子と、不良っぽく見えるけれども感受性の強い高校生の月島の青春を描く。月島は2人のことを「ふたごのようだと思っている」と言う場面があり、これが本のタイトルにもなっている。
夏子と月島は、一部のファンの間では「SaoriとFukaseをモチーフにしている?」と囁かれたりもした。
●セカオワメンバーは「ふたご」を全力応援
「ふたご」が完成し、発売されるとセカオワメンバーは口々に労いや激励のコメントをツイート。
4人の仲の良さが改めて伝わった。
■ボーカルFukase「さおりちゃんの5年にも及ぶ死闘が終わった」
さおりちゃんの制作をみていると、千本ノックの様だと思う。パソコンを睨みつけ、戦うように何かを作る。その点、例えるなら僕は逆でカフェだ。カフェでキャラメレペレペチーノだ。
さおりちゃんの5年にも及ぶ死闘が終わったんだね!おめでとう!#ふたご
— Fukase(SEKAINOOWARI) (@fromsekaowa) 2017年10月27日
■DJ LOVE「買いにいくぞー!」
今日は本屋に「ふたご」を買いにいくぞー!
— DJ LOVE_SEKAINOOWARI (@DJLOVE_SNO) 2017年10月28日
■リーダーNakajin「藤崎彩織センセイ」
一方Saoriは、小説家・藤崎彩織を応援するFukaseの面白エピソードをツイートしていた。
Saoriがノミネートされた直木賞と同時に発表される芥川賞の候補作一覧は次の通り。
【直木賞】
彩瀬まる「くちなし」(文芸春秋)
伊吹有喜「彼方の友へ」(実業之日本社)
門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社)
澤田瞳子「火定(かじょう)」(PHP研究所)
藤崎彩織「ふたご」(文芸春秋)
【芥川賞】
石井遊佳「百年泥」(新潮11月号)
木村紅美「雪子さんの足音」(群像9月号)
前田司郎「愛が挟み撃ち」(文学界12月号)
宮内悠介「ディレイ・エフェクト」(たべるのがおそいvol.4)
若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも」(文芸冬号)