出演したミュージックビデオにわいせつな演出が含まれていたとして、エジプトの女性歌手(25)が懲役2年の実刑判決を受けたことが明らかになった。BBCなどが12月13日報じた。
歌手はシャイマ(本名シャイマ・アフメド)さん。問題視されたのは、「私には問題がある」というタイトルの曲。テレグラフによると、ミュージックビデオの中で、シャイマさんは下着姿で男性らの前に現れ、バナナに牛乳をかけて食べたり、リンゴをなめたりしている。
公開から数日で100万回以上再生されたが、こうしたシーンが性的なものを強く連想させるとしてシャイマさんへの批判が相次いだ。
BBCによると、シャイマさんはFacebookで謝罪するとともに、「みなさんからこんな強く非難されるなんて思わなかった」と書き込んだが、警察当局が11月に逮捕。刑事裁判を受けることになったという。
判決公判は12日にあり、わいせつ動画を公開した罪と、扇動的な騒ぎを起こした罪によって懲役2年、罰金1万エジプトポンド(約6万3000円)の実刑を言い渡された。ビデオ撮影者も2年の実刑判決を受けた。
音楽業界をめぐっては2016年、別のミュージックビデオに出演していたダンサーの女性3人が扇動的な騒ぎを起こした罪で懲役6カ月の実刑判決を受けた。
また、ロイター通信によると、9月には、性的少数者の象徴となっている虹色の旗が掲げられたコンサートに参加した若者たちが、公共の道徳に損害を与えたとする罪に問われた。
エジプトでは2011年、「アラブの春」によって長らく続いてきたムバラク氏の独裁的な体制が終わり、民主化が進むとみられたが、その後もイスラム主義政権や、軍・警察力を背景にした政権が相次いで成立。強権的な政治状況が続いている。