芥川賞作家の赤染晶子(あかぞめ・あきこ)さんが9月18日に死去していたことがわかった。京都新聞が報じた。42歳だった。死因は急性肺炎で、葬儀・告別式は近親者ですませたという。
赤染さんは京都外国語大ドイツ語学科を卒業後、北海道大大学院で学んだ。2004年にデビュー作『初子さん』で第99回文學界新人賞を受賞。その後、2010年に『乙女の密告』で第143回芥川賞を受賞した。
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『乙女の密告』は、京都の外国語大学でドイツ語のスピーチコンテストに挑む女学生たちの日常と、その課題作である「アンネの日記」の世界が重なり合う物語だ。
芥川賞選考委員の作家・小川洋子さんは、「ある区切られた空間の中にある人数の人が集まると、理不尽なことが起きる。大学の教室の中で乙女と呼ばれる生徒たちが二つの派閥に分かれて争い、密告が起こるというのは、アンネ・フランクの身に起きたことに重なる。二つの世界が結びつく巧みな小説」と絶賛していた。
京都外国語大学は、赤染さんの芥川賞の受賞に寄せて、次のようなコメントを発表していた。
「受賞作は、在学時に経験したドイツ語の授業を実に興味深くデフォルメし、語学を自作の文学作品の中でしっかり息づかせるなど、外国語大学出身者ならではのストーリー展開、ならびに言葉の選び方がなされております。これからも、持ち味のユーモアあふれる文学作品のための創作活動への期待がふくらみます」