血液型がO型の人たちが献血する割合が多いのは、O型が「いい人」だからなのか?
そんな観点でデータを分析した佐々木周作・日本学術振興会特別研究員らの研究結果が、12月9日から始まる日本行動経済学会で発表される。
●きっかけとなったアンケート調査
20歳以上の約1500人を対象に実施した「くらしと好みの満足度についてのアンケート調査」のデータ(2017年分)で分析。自己申告に基づく血液型の割合は、日本全体の血液型の割合とほぼ同じだった。
調査で、「1年以内」もしくは「数年以内」に献血したことがあると答えた人の割合をすべての血液型(A、B、O、AB型)で比べると、O型の人は献血する割合が最も高かった。
●なぜ、O型の人は献血する割合が最も高かったのか。
O型の人が献血する割合が高い理由について、研究班は次の二つの仮説を立てた。
1.自分を犠牲にして他人の幸せを優先する傾向が強いのかもしれない。
2.O型はほかの血液型の代わりにもなると知っているのかもしれない。
1.を計るために、O型の人がほかにも他人のためになる行動をとっているかを調べた。骨髄バンクのドナーや臓器移植のドナーに登録したか、もしくはその意思を持っているか、お金を寄付したことがあるか、などの行動面を尋ねた。だが、O型がほかの血液型より熱心という結果は出なかった。
また、協調性や信頼感、誠実さなど、他人の幸せを優先することと似たような特性も調べたが、O型が特段ほかの血液型よりもそうした傾向があるという結果は出なかった。
2.について調べると、「O型の血液はO型以外の人に輸血できる」と知っているO型の人ほど、献血する割合が高いことが分かった。献血するO型が多ければ多いほど、カバーできる血液型が広いため、助かる人がその分増えるということになる。佐々木研究員らは「O型は他の血液よりも輸血できる対象が広い公共財」と説明している。
■O型の「いい人」仮説は立証できず
こうしたことなどから、研究では、O型が献血への参加率が高いといっても、O型には他人の幸せを優先させる人が多いという理由からではなく、O型がほかの血液にも使えるという知識が広まっているため、と結論づけた。
研究に参加した、大竹文雄・大阪大学経済学部教授(行動経済学)は「O型が他の血液型に輸血できるという知識がある人に限って、他の血液型の人よりも献血する傾向があり、これがO型の人が献血する割合が高い理由と考えている。ただ、献血会場でO型の血液が頻繁に『不足している』と募集をかけられているかもしれないので、ほかの可能性がないか引き続き探りたい」としている。