取材陣の前に現れた草彅剛は、テーブルの前に立つなり、大量に並べられた音声レコーダーの中からiPhoneを選んだ。すでに録音は回っていたが、いきなり「一時停止ボタン」を押した。
戸惑う記者たちに、ひとこと。
「アナログなレコーダーばかりなのに、(iPhoneが)ひとつだけデジタルだから。止めちゃえ〜って」。ひょうきんな姿に、笑いが起きる。
稲垣吾郎と香取慎吾とともに公式ファンサイト『新しい地図』を立ち上げた草彅。「これからは自分から発信していく立場になった」と語った。取材陣を笑わせる余裕と自信。自分らしい言葉を紡ぐことの責任感。新しい「つよぽん」がそこにいた。
――新しい地図がスタートしてから、稲垣さん・香取さんと話をする機会も増えたと思います。ふたりに対して、信頼している点や好きなところとか、改めてどういう気持ちですか。
そうですねぇ。すごく頼りになります。
うーん、なんか...ふたりの好きなところを具体的に考えることはあまりないんですけど、今回こうやって「新しい地図」というものを3人で始めて。
「72時間ホンネテレビ」もそうなんですけど、本当に新しいことをこうやって3人でやっていくにあたって、頼もしいし...また改めて、こうして違うステージに立てて。
新しいことをやっていこうっていう気持ちがふたりとも素敵だなぁと。「僕と同じだなぁ」と思えるところが、今は幸せですかね。
...でも真面目なところが好きかな。ふたりとも。すごい真面目なので。僕一番適当っていうか。すごい真面目なんですよ。なんだろう、その、30年こうやってやってきて、本当僕を初心に戻してくれるっていうか。そういうところが好きかなぁ。ふたりとも真面目。
――新しい地図の「逃げよう」というメッセージは印象的でした。
「逃げよう」って一見ネガティブな言葉なんだけど、一番手っ取り早く、"自由"になれるかなと思って。
なんか、みんながこう抱いている、みんなが誰しも思っている窮屈なものから「解放されたい」という気持ちが、スパンとこうハマって。キャッチーで、いいなと思って。
僕ら3人の今の気持ちみたいなものをすごく瞬時に表しているので、3人ともいいんじゃないかという意見が一致して、こういう形になったというか。だから...そうですね。なんか、気持ちがよかったんですかね。とても。
あの映像も、これから新しく始まる僕らの気持ちを汲んでくれて作ってくれた。新しい地図の空の色とか、すべてを僕らの言葉、気持ちを汲んで作られたものだったので。見ていただいた人たちにも、すっと心に入っていくような映像、作品になったのかなと思います。
――反響はどのように受け止めていますか。
すごく嬉しいですね。本当に新しいことだったので、インターネットの世界に入っていくっていうのが。
僕もいまだにアナログだし、全くそういうものをやっていないっていうことはないんですけど、AbemaTVも知らなかった。タダで見られるとかもわからなかった。
新しいことを始めようとなって、インターネットの世界って楽しいなとすごく素直に思えました。なんか、やってみようかなぁと思ったので。反響もダイレクトに返ってくる。
今までとはまったく違った感覚ではあるんですけど、なんか悪くないなっていうか。うーん...気持ちもすぐ追いついていく部分もあるので、うまく自分なりにネットの世界を使いこなせたらいいなって思います。
今までは全く知らなかったので、ちょっと毛嫌いしているところもあったのかなって。まったく知らないのに「やらない」って決めるんじゃなくて、知った上で、自分で選択していけばいいなと、少し思っている自分がいます。
――草彅さんは、TwitterとYouTubeをスタートします。YouTuber草彅として、具体的にやりたいことは?稲垣さんは、「かなり過激にやってもらいたい」と言ってましたが...。
色々と打ち合わせしてるんですけど、言うのは簡単だけど、やるのは僕なので(笑)。
吾郎さん勝手に言いますけどねぇ。まぁ、吾郎さんに出演してもらおうと思ってます、そんなこと言うなら。うん。こうなったらみんな巻き添えだ、みたいな。吾郎さんにも1本満足バーで踊ってもらおうかな。勝手にあげちゃおうかな。
気分が上がってる時は、吾郎さんやってくれるので。「マン、マン、マンゾク!」とかやってもらって。上げたら結構おもしろいかな。そう。だから、吾郎さん、1本満足バーをアドリブで踊ってよ、みたいな。急にそれを第一弾で上げたら、結構衝撃的なんじゃないかな。
ここまでYouTuber草彅って言ってるのに、俺が出ないっていうねぇ(笑)。一番最初に「稲垣か」となったらおもしろい。そうなんですよ...。
江頭2:50さんに出てもらうとか。俺出ないで。「『ぷっ』すま」の収録の後にエガちゃん(江頭2:50さんの愛称)取っ捕まえて、テレ朝の廊下で、「エガちゃん踊ってよ」「絶対明日のYahoo!トップになるから」とかなんとか言って。絶対やってくれると思うのよ。
そういうのもちょっと考えてます。うん。(笑)
――SNS(Twitter)の第一声では、何を呟きたいですか?
とりあえず3人で「よろしくお願いします」みたいなことを呟こうか、という感じなんですけど...。まぁ、「よろしくお願いします」かな。3人同時にやろうってこのあいだ話していたので。
――稲垣さん・香取さんは、それをバラしたらおもしろくないんじゃない?って言ってました。
俺がここで言っちゃったんだ。あはははは。(笑)ああそう。まぁでもそういう話だったんでね。
それもどうやるのかまだわかんないから。一応、でもそういう約束はしたので。俺は本気にしているので、そういう感じになるんじゃないかな。多分ね、多分。
――AbemaTVの生放送特番『72時間ホンネテレビ』でやってみたいことはありますか?
市川海老蔵さんの家に行きたいって言ったら、海老蔵さんがそれは勘弁してくれって(笑)。「泊まりたかったなぁ」とすごく思うんですけどねぇ。でも海老蔵さんに会えるのもすごく楽しみです。
そうですねぇ、うーん...。なんか決まってることがコロコロあるんですけど、僕にはあんまり教えてくれなくて(笑)。さっきもネットのニュースで関根勤さんが出ることを知ったりとか。僕のところには情報がおりてこないのはなんでだろうと。みなさんと同じタイミングで知ってるんじゃないかな。冗談じゃなくて事実だから怖い(笑)。
やっぱり、それもふまえて、そうですね。それもふまえて自分は楽しんでいて。ネットって情報が早いなと思って。あとキャイ〜ンさんとか出てくれたりとか...盛りだくさん。
僕10時になったら眠くなっちゃうんです。だから寝たいです。いかにうまく寝られるかっていうね。どう考えても72時間寝ないでやるっていうのは無理なんじゃないかな。そこらへんどうなってんのかな...。あんまり寝たい寝たいって言い出すと本当に怒られる雰囲気になってくるからね(笑)。「お前寝ることばっかり考えてて、番組のこと考えてないじゃないか」っていう。そうなってしまいますからねぇ(笑)。
でも、うん。いま現時点で決まっている企画も楽しみだし、今までこの3人で24時間、27時間テレビはやったことあるんですけど、改めてこうやって3人になって、大きな壁というか...今まで経験したことがないこの大きなものを、どうやって作っていくのかなというのが一番楽しみですかね。
――72時間生放送というのは、草彅さんの芸歴30年の中で初めてですよね。
30年かぁ。30年って言われると、あぁすごいなぁ。でも、なんにもできてないなぁと。ねえ。だから、その貫禄とか出したいですよね、30年の。ああやっぱり「持ってんじゃん」と言われたいです。「いざとなったら草彅くんだよな」というところを見せたい。
慎吾はすごく打ち合わせしていて、俺は打ち合わせしてないんですけど...「全部俺が仕切ってる」みたいな感じで。「つよぽんは大丈夫だよ、その中で遊んでくれれば」みたいなこと言い出して(笑)。
...いやいやいや、72時間となると、すごく緻密に打ち合わせしても、やっぱり絶対にアクシデントとかあると思うんですよ。緻密に打ち合わせしたとしても。一番大事なのは「ライブ感」だということを、2人に見せつけたいし、世の中の人にも「やっぱり72時間は草彅あっての72時間だな」と思わせたい。だから僕は打ち合わせをしない。
(一同笑い)
打ち合わせしても忘れちゃうので。なんか、みんな、「こいつに言ってもダメだろ」みたいな感じになってて。「とりあえず剛くんはYouTuberがトレンド入りしたからそれで推していこう」みたいな感じで(笑)。それで72時間なんて出来ないじゃねぇかと思いつつ。
まぁ、僕自身がアナログな人間なのでそれを楽しんでいる感じがあります。それはそれでいいかなと。今回、AbemaTVを初めてご覧になる方もいると思います。僕自身、3日前にやっとダウンロードしたので。そうなんですよ。僕は、僕のようにアナログな方々をいかにこっちに、楽しいAbemaTVがあるんだよと伝える係だと思うので、慎吾ちゃんと吾郎さんとは違う役回りだと思ってるし、そのへんはバランスがとれてるんじゃないかな。
――番組について、3人で話し合われていますか?
3人でご飯食べて。呼びたい人は誰かいるのかなぁとか、どういう人来てくれんのかなぁとか話しました。無名な人とか、何かを頑張っている人を呼んでもいいかもなぁとか、そういう話をしたりして...結局は、「頑張っていこう」みたいな感じで終わってしまったんですけど。
とにかく3人とも意気込んでいる、気持ちがひとつになっているというのが大事なので。すでに決まっている企画もあるんですけど、素晴らしいゲストの方も来てくれるんだけど、3人がやっぱり元気に迎えいれないといけないので。その日に向けて健康的に頑張ろうっていう感じですかね。
――3人でお食事される機会は、結構ある?
そうですね。打ち合わせがあるので、それが終わった後とかに行きますね。あと、勉強会とかがちょっとあって。インターネットのこととかわからないので。ツイートとか、YouTubeとかやったことがないので、どういうものかっていうのを勉強してる。
――稲垣さんが3人でLINEのやりとりをしていると仰っていましたけど...それは使いこなされている?
LINEは何となくわかります、うん。なんとなく。使いこなしてはいますね(笑)。
――3人のグループがある?
えーっと、慎吾はやってないのかな。吾郎さんと俺だけですかね、あとはスケジュールを管理している人が何人かいたりする。
――稲垣さんが、LINEで「吾郎さんのこういうところが好きだよ」と言われて、改めて伝わってくることが嬉しかったと仰っていました。
なんか、素直に伝えたいことは伝えようかなと思っていて。僕はむしろ、LINEとかを通した方が照れがないというか。本人の目を直接見て言っているわけじゃないから。
嘘もなく「吾郎さんそういう気遣い素敵だね、今日はありがとう」みたいな。うん。スタンプとかもあるし、それこそカジュアルに感謝の気持ちとか伝えられるので、結構好きですね。
――どういうスタンプを使ってるんですか...?
エガちゃんのスタンプ使っています。
(一同笑い)
――3人で次々に新しいことにチャレンジされていますが、今一番、ここは大事にしたいと思うところはありますか?
そうですねぇ...。わからないことは「わからない」って言おうかなと思って。なんか、ちょっと、ねぇ。僕は本当に始めてのことが多いので。
「わからない」って言うと色々止めちゃうのかなと思ったりして、気を遣ってそのままにすることが結構多いんですけど。現時点では、わからないことは「ちょっとわからないので教えてください」みたいな。まぁ、より素直になるというか。
自分の感覚とかも大事なんですけど、新しい世界に飛び込んでいるので、それこそネットに詳しい人の意見は素直に聞いてみようという感じですね。
――頭の中はわりと真っ白で、人の意見を受け入れているような状態ですか?
そうですね。とは言っても自分の我もあるから。結構面倒くさがりなんで、「それいらないんじゃないかなぁ」とか思っちゃったり、「説明はいいや」とか思ったりとかもしてるんですけど。
根がやっぱりアナログなのかな...自分古いなって思うところもあるので、そういうところは新しくしていいのかなとも思うし、もっと人の意見や受け入れる窓口を広くした方がいいかなとは思ってはいる。まぁでも、そういうのも楽しくて。今までそういうことも考えなかったし。
新鮮なことが多いので、それをどう自分の中で消化して、自分のものにしていくべきか考えてます。色々と見てると、YouTuberとして表現できることって、結局やっぱり今までやってきたことと同じなんじゃないのかなぁと思ったりします。
――自分をどうプレゼンするか、ですよね。
そういう話をするのも楽しいですし、今の段階では素直にいろんな意見を聞いて、本当に真っ白な状態で始めているっていう感じですね。
――インターネットは、さまざまな人の意見が広がっている場所でもあります。草彅さんは、エゴサーチをされますか?
自分のこと?あ、それはある。草彅で打って、見たことは何度かある。
やっぱり色んな人がいるんで、パソコンやり出した時、初めて見た時は結構驚いたというか。あ、こんな色んなこと言われてるんだなって。でも、もうそれって今は当たり前というかね。そういう仕事だし。まったく気にならなくなったっていうのは嘘かもしれないけど、「そういうものなんだな」と割り切れるようになった。
あんまり気になるから検索しないし、これからはむしろ、自分から発信していく立場になったので。色んな人が見ているから、色んな意見があると思う。自分にとっておもしろくない意見をあんまり気にしているとつまらなくなっちゃうので、気にしつつも気にしないで、楽しんで自分なりにやっていけたらなって思いますね。