小池百合子東京都知事が率いる希望の党が民進党の候補者を受け入れるのは、民進党が保有する100億円規模の資金が目当てだとする報道が相次いでいる。希望の党が自前で選挙資金をまかないきれないためではないかというのがその理由だ。朝日新聞デジタルは9月28日、次のように報じた。
25日に設立されたばかりの新党にとって、全国展開のために不足しているのは地域に地盤を持つ人材と資金。民進には「100億円」(民進関係者)ともいわれる資金がある。すでに、落選して政界から離れていた近畿地方の元民主党衆院議員にも、新党側から「調査票を送って、600万円を振り込んでほしい。自動的に公認する」と立候補の打診があったという。
(突然の「合流」、民進漂流 「党を売る話だ」反発の声も:朝日新聞デジタルより 2016/09/28)
■衆院選、費用はいくらぐらいかかるの?
前回2014年の衆院選では、各選挙区における選挙運動法定費用額は、1候補者あたり平均で約2500万円だった。
このほか、選挙に出る際に立候補者が法務局に支払う供託金300万円(比例にも出る場合は別途300万円)のほか、選挙運動用の自動車に要する経費、選挙期日後の残務整理に要した費用なども必要になってくる。
ある前衆院議員はハフポスト日本版の取材に「4000万〜5000万くらいかかる。人によっては、もっとかかることもある」などと話した。
これらの選挙資金には通常、候補者が自前で用意する額だけではなく、国庫から政党に支給される政党交付金も充てられる。各メディアは、小池新党が人材だけでなく、この「政党交付金」も狙っているのではないかとの見方を伝えている。
時事ドットコムは決算資料を元に、民進党の「昨年末の繰越金は124億円」と指摘。民進党関係者の話として、同党は9月22日に前職の衆院議員に約500万円を配布していると報じた。希望の党は「供託金プラス選挙資金300万~600万円」の拠出を、候補者に求める方針だという。
■小池氏らは否定したが...
これに対して小池氏は、9月29日の会見で「(民進党の)お金欲しさにうんぬんことを批判される方、それは全くの間違いでございます」などと否定。「今回、希望の党で公認候補として戦っていただく方には、それぞれ自前の努力で、出馬、そして選挙戦を戦ってもらうということをこれをもう条件としています」などと語り、合流は金銭目的ではないことを強調した。
さらに、希望の党の若狭勝・前衆院議員は9月30日放送の「ウェークアップ!ぷらす」(日本テレビ系)で、「民進党の持っている政党助成金を、希望の党が譲り受けるとかもらうと言うことは、絶対にありません」などとコメントした。
しかし若狭氏は、立候補予定者には個々人で選挙資金を用意するよう伝えたとしながらも、供託金が民進党から出ているかどうかは、希望の党側では追求しないとする考えを示した。
若狭氏は「お金の出処とか、お金に色がないので、我々はそのへんのところまでは追求・関与できるわけではないので、その先はちょっとよくわかりません」などと述べた。
■どういう流れでお金が動く可能性があるの?
政党交付金はどのようにして、民進党から希望の党に流れる可能性があるのか?
産経ニュースは、「政党から別の政党への寄付にも制限はありません」と指摘。民進党の政党交付金が、選挙で希望の党の選挙資金に使われる可能性もあることを示唆した。
■お金をめぐって揉める可能性?
一方、時事ドットコムは小池氏が候補者を選別する意向を示したことを挙げ、今後、希望の党と民進党側とで「カネをめぐってもめる可能性もある」などと伝えた。
民進党の枝野代表代行は、10月1日午前、前原誠司代表と電話で会談し、「選別」についての説明を求めた。枝野代表代行はFNNニュースに対して「あの時の話と違うではないかと、現に自分は希望の党には行かないと。等の声も上がってきている」と述べ、希望の党との候補者調整に、不快感を示した。