北朝鮮を先制攻撃する選択肢の一つとして、グアムに配備したB1爆撃機で爆撃する準備をアメリカ国防総省が整えたと8月9日、NBCテレビが報じた。
アメリカ空軍のB1爆撃機
相次ぐ北朝鮮の挑発にアメリカ政府が神経を尖らせていることが、NBCテレビの報道の背景にありそうだ。
■共同訓練には韓国軍・自衛隊も参加
韓国軍のF15戦闘機と共に韓国上空を飛行するB1爆撃機
NBCテレビによると、米軍幹部2人と元幹部2人がグアムのアンダーソン空軍基地から離陸したB1爆撃機が、攻撃の鍵を握ると語ったという。
核爆弾は搭載されておらず、戦闘機による護衛と電子戦機や空中給油機の支援の下、北朝鮮国内にある約24カ所のミサイル基地や実験場、関連施設などを攻撃するプランだという。
B1爆撃機を朝鮮半島上空などに飛ばす訓練が、5月末から8月7日までに計11回実施された。産経ニュースは、この訓練のうち数回は、日本の航空自衛隊と韓国空軍の戦闘機がB1爆撃機を護衛する共同訓練だったと報じている。
■情報機関の幹部「悪い選択肢の中では最良」
NBCテレビは、アメリカ政府の当局者2人に、B1爆撃機での先制攻撃プランについて質問したが、爆撃機は検討中の選択肢の中にあったが、唯一の選択肢ではないと語ったという。彼らは陸海空だけでなくサイバー攻撃が重要だと主張した。
北朝鮮政策を担当する情報機関の幹部は「良い選択肢はない」とした上で、韓国が関与しない形でのアメリカの一方的な爆撃は「多くの悪い選択肢の中では最良だ」と語ったという。
しかし、退役海軍大将のジェームス・スタフリディス氏はNBCテレビに対して「実際に爆弾を投下するためにB1爆撃機を使えば、北朝鮮のインフラを破壊し、多くの人々が死ぬことになる。戦火は拡大するだろう」と警鐘を鳴らした。
■B1爆撃機とは?
韓国の烏山空軍基地に着陸したB1爆撃機
時事ドットコムによると、B1爆撃機は米ソの冷戦期、超低空を高速で飛行し、防空網をすり抜けて敵地に核爆弾を投下する戦略爆撃機として計画され、1974年12月に原型機B1Aが初飛行した。
その後プロジェクトは中断していたが、1981年に成立したレーガン政権が国防力強化の一環としてB1プロジェクトの復活を決め、試作機に改良を加えた「B1B ランサー」を量産し、実戦配備することになった。
産経ニュースによるとB1爆撃機は爆弾や射程1000キロ以上の長距離空対地ミサイルなどの通常兵器を最大約60トン搭載することができる。グアムには現在6機が配備されており、2時間以内に朝鮮半島に到達することが可能だという。
■関連スライドショー(北朝鮮の軍事パレード)
(※開かない場合は、こちらへ)