朝鮮学校の無償化除外、国の処分を取り消し 大阪地裁、原告側が全面勝訴

高校の授業料無償化の対象から除外された朝鮮学校が処分の取り消しを求めて国を訴えていた裁判で、大阪地裁は訴えを認める判決を言い渡した。
時事通信社

国が朝鮮学校を高校無償化の適用対象外としたのは違法として、大阪朝鮮高級学校を運営する学校法人「大阪朝鮮学園」(大阪市)が国に処分取り消しと適用の義務付けを求めた訴訟の判決が7月28日に大阪地裁であり、西田隆裕裁判長(三輪方大裁判長代読)は原告側の全面勝訴を言い渡した。時事ドットコムなどが報じた。

西田裁判長は「拉致問題の解決の妨げになり、国民の理解が得られないという外交的、政治的意見に基づき、朝鮮学校を無償化対象から排除した」と指摘。無償化の目的である教育機会の均等確保とは無関係で、適用の根拠規定を削除したのは無効と判断した。

朝鮮学校では北朝鮮指導者に敬愛の念を抱き、国家理念を賛美する教育が行われていると言及したが、判決は「就学支援金が授業料に充てられず、朝鮮総連から不当な支配を受けている疑念を生じさせる特段の事情は認められない」とし、適用要件を満たすと結論付けた。

 

朝鮮学校への適用命じる=高校無償化除外は「違法」-大阪地裁:時事ドットコムより 2017/07/28 13:29)

朝鮮学校の無償化除外をめぐる訴訟は2013年以降、東京や名古屋など全国5カ所で起こされている。初の司法判断となった19日の広島地裁判決では学校側が敗訴しており、今回の大阪地裁の判決は逆の結論となった。

無償化は2010年4月、当時の民主党政権が導入。公立・私立高校や高等専門学校などに就学支援金が支給され、生徒の授業料に充てられる。

毎日新聞などによると、外国人学校などの「各種学校」も文部科学相が指定すれば対象になるが朝鮮学校は審査中に北朝鮮の韓国砲撃があるなどし、結論が先送りされていた。政権交代後の2013年2月、当時の下村博文文科相は朝鮮学校について北朝鮮や朝鮮総連との関係を問題視。朝鮮学校が無償化の対象になる文科省令の規定を削除し、大阪朝鮮を含む10高級学校を不指定とした。裁判では、この規定の削除や学園を不指定とした処分が妥当かが争われた。

高校授業料無償化訴訟の判決で勝訴し、喜ぶ朝鮮学校の生徒ら=大阪市北区の大阪地裁前 撮影日:2017年07月28日

◼︎関係者らは全面勝訴に大歓声

学園側勝訴の主文が言い渡されると、法廷や裁判所周辺では、大阪朝鮮高級学校の関係者らが大歓声を上げた。朝日新聞デジタルは次のように報じた。

「大阪朝鮮学園」が大阪地裁に提訴した時、中級学校3年だった金宏城(キムグァンソン)さん(19)は法廷で判決を聞いた。「どんな結果になるのか不安だったが、ほっと一安心。司法は公平な判断をしてくれた」と喜びをにじませた。

在日4世である自分のルーツを知った上でどう生きていくかを考えたいと、日本の高校ではなく高級学校を選んだ。当時はなぜ朝鮮学校だけが除外されたのかよく理解できなかった。だが、朝鮮大学校(東京都)に進学し、歴史や政治を学ぶうちに「制度的な差別なのではないか」と考えるようになった。

 

国の処分取り消し、傍聴席から歓声 朝鮮学校無償化訴訟:朝日新聞デジタルより 2017/07/28 15:13)

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