岡山市の学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐって安倍首相の関与の有無が焦点となっているが、7月25日に開かれた参院予算委員会の閉会中審査で、加計学園グループの学校敷地内に自民党支部が存在することが問題視された。松沢成文参院議員（無所属クラブ）が安倍首相と松野博一文科相に質問した。
松沢氏は自民党の職域団体「自由民主党岡山県自治振興支部」の政治資金収支報告書を掲げた。そこには代表者名として、加計学園理事長である加計孝太郎氏。所在地には、加計学園グループの予備校「英数学館岡山校」の住所が記載されていた。
松沢氏の国会質問の該当部分を抜粋すると以下の通り。
■松沢成文氏「首相は説明責任を果たすべき」
松沢氏：加計学園グループの英数学館の所在地に自民党支部があるんです。代表者の氏名は加計孝太郎氏となってます。会計責任者は加計学園グループの学校法人理事長、事務担当者が英数学館岡山校の校長となってます。
支出は事務費や人件費や光熱費などはゼロで、政治活動費、組織活動費だけに毎年7〜8万円計上されている。学校の中で学校関係者が代表者と事務方を務めて、自民党を支援する政治活動を行ったという状況証拠がある。総理、こんなこと許されるんでしょうか？
松野文科相：まず私から事実関係を。教育基本法第14条第2項は、学校の政治的中立を定めており、この学校とは学校教育法の第1条に定める学校、いわゆる1条校を意味してます。このため学校法人や各種学校の役職員について、政治的活動の制限を課す物ではありません。英数学館の理事長である加計孝太郎氏や、その校長については同法の適用を受けない。
英数学館岡山校の校舎におきましては各種学校としての教育のほかに、並木学院高等学校の授業が実施されていることから、所轄庁である広島県が現地調査をしたところ「生徒に影響を与えるような政治活動は行われておらず、教育基本法に反するような状態にない」と判断したとのことでした。
安倍首相：法令上どうなのかというのは、松野大臣から答えてもらった通り。自民党として支部を作る際には法令にのっとって支部を作っていくということです。
松沢氏：英数学館岡山校は、並木学院の岡山キャンパスに使われています。並木学院は通信制と単位制の高校で、教育基本法の範囲です。形式上は各種学校の生徒といってますが、実際は教育基本法に反する可能性があると思うが、安倍総理いかがですか？
松野文科相：並木学院高等学校は1条校であります。それを受けて広島県が現地調査して「生徒に影響が出るような政治活動は行われてない」と判断しました。
松沢氏：自由民主党という政党として、教育基本法に反する可能性がある政治活動をしているのであれば党として調査するべきでは？並木学院の生徒に関する政治的なアプローチをしているのであれば法に触れるわけですから。
安倍首相：松野大臣が申し上げたように、広島県より報告を受けた通りであります。法令を遵守して適切な政治活動をしているのは言うまでもないことであって、引き続き文部科学省で対応していきます。
松沢氏：自民党の総裁としても支部が政治資金規正法などの法令に違反していないのか、きちっと調べて、説明責任を果たすべきだと思います。それをしないのであれば、加計孝太郎氏の証人喚問をやっていただかないと、この疑惑は証明できないと思うんです。調査していただけますか？
安倍首相：証人喚問については国会で決めることであります。自民党の支部については適切に設置がなされなければならないし、政治資金規正法に適していなければならない。もし本当に、法令違反があるならば、ただちに廃止しなければならないと思います。