インド北部ハリヤナ州に6月23日、「トランプ村」が誕生した。本人と縁もゆかりもなさそうなこの場所に、アメリカ大統領の名前が付いた村がなぜ生まれたのか。
ロイターによると、「トランプ村」に改名したのは、マロラと呼ばれる小さな村。トイレの普及に取り組む慈善団体「スラブ・インターナショナル」が、トランプ氏の知名度を利用して募金を集めようと、改名を主導した。
ただ、改名は非公式で、通称として「トランプ村」を使用し、地図などの公式表記はマロラのままだ。トランプ氏本人やホワイトハウスからの許可は取っていないという。
村の入り口など至る所に、トランプ氏の顔写真が描かれた巨大ポスターが設置され、英語とヒンドゥー語で「トランプ村にようこそ」と歓迎の言葉が記されている。
この“改名”は、インドのモディ首相がホワイトハウスでトランプ氏と初めて会談する日の前日に執り行われた。
インドの人口全13億人のうち、公衆衛生を利用しているのは3分の1に満たない。国連の推計では、人口の半数が屋外で排便しており、コレラや赤痢などに感染するリスクにさらされている。
こうした状況を改善しようと、スラブ・インターナショナルはこれまでに、インド国内に150万個のトイレを整備。団体の創設者ビンデシュワール・パサック氏は、「トランプ村」の取り組みを通じて、重大な社会問題への関心を高まることに期待している。
「こうした取り組みは、裕福な人や企業が村を訪れて募金するきっかけになるかもしれない」と、ロイターの取材に答えた。
ある村人は、公式な許可がなくてもこの新しい村名が定着すると考えており、「私たちはみんなこの名前を歓迎している」と話したと、AFP通信が報じた。
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