この旅行会社は、中国・西安の「Young pioneer tours」。同社のホームページによると、北朝鮮への格安ツアーを提供している最初の旅行会社として、韓国との軍事境界線の見学や平壌マラソン、ペクト山登山などのツアーを中心に催行している。
ガーディアンによると、アメリカ人学生のワームビアさんもこの旅行会社を通じて、北朝鮮に渡航。政治ポスターを盗もうとしたとして18カ月にわたって拘束された後、解放されたが昏睡状態に陥り、6月19日に死亡した。
ワームビアさんの死亡を受けて、旅行会社は6月20日、公式サイトに声明を発表。ワームビアさんや家族に哀悼の意を評した上で、アメリカ人旅行客の受け入れを見直すことを明らかにした。
当初北朝鮮について「世界中でもっとも安全な国のひとつ」と謳っていたが、「今の状況で、アメリカ人が北朝鮮に行くのはリスクが非常に高い」と判断。「このような悲劇を繰り返してはなりません」と、今後は北朝鮮ツアーへのアメリカ人旅行客の受け入れをしないことを表明した。
同じく、北朝鮮のツアーを催行する中国・北京の「Koryo」やアメリカ・ニューヨークの「Uri Tour」も、ワームビアさん死亡を受けて相次いで声明を発表。北朝鮮の対応を批判した上で、北朝鮮ツアーへのアメリカ人の受け入れを見直すと発表した。ニュースサイト「VOX」によると、年間800人以上のアメリカ人が北朝鮮に訪れているといい、影響が広がりそうだ。
「Young pioneer tours」の声明の全文は以下の通り
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オットー・ワームビアさんと彼を愛する人たちに哀悼の意を評します。
ワームビアさんの容体が回復し、本来の生活を取り戻すことができるよう願っていましたが、叶いませんでした。私たちは、未来ある若者の命があまりにも早く奪われてしまったショックで、動揺を隠せません。
ワームビアさんの死という衝撃的な出来事を受け、アメリカ人旅行客の受け入れ体制を見直すことにしました。北朝鮮におけるこれまでの拘束行為で、このような悲劇的な結果となったことはなく、私たちは対応に全力を尽くしています。
今の状況で、アメリカ人が北朝鮮に行くのはリスクが非常に高い。拘束されたワームビアさんへの扱いはおぞましいもので、このような悲劇を繰り返してはなりません。何度もワームビアさんや本人と連絡が取れる人への面会を求めましたが、全て拒まれ、彼は無事だと伝えられただけでした。
未だに、ワームビアさんの拘束時の情報は全く明らかになっていません。こうした事実や悲劇的な結果を鑑みて、今後アメリカ人向けの北朝鮮ツアーを催行をしないことを決めました。
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