北朝鮮によるミサイル発射が相次いでいる。
このような緊急事態に、国民に情報を知らせ、避難を促すのが「全国瞬時警報システム」、通称「Jアラート」だ。
5月29日朝に北朝鮮から弾道ミサイルが発射され、日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。にもかかわらず、このJアラートが発動せず、Twitter上では「Jアラートが鳴らないのなんで?」といった声があがっていた。
■「Jアラート」とは?
総務省消防庁の発表している説明資料によると、Jアラートとは以下のようなものだ。
弾道ミサイル情報、津波警報、緊急地震速報など、対処に時間的余裕のない事態に関する情報を国
(内閣官房・気象庁から消防庁を経由)から送信し、市町村防災行政無線(同報系)等を自動起動することにより、国から住民まで緊急情報を瞬時に伝達するシステム
(総務省消防庁「全国瞬時警報システム(J-Alert)」説明資料より)
2007年2月から一部の地方公共団体で運用が開始され、2017年現在、全ての地方公共団体がJアラートに対応しているという。
Jアラートを使用すると、市町村の防災行政無線等が自動的に起動し、屋外スピーカー等から警報が流れるほか、携帯電話にエリアメール・ 緊急速報メールが配信される。
■弾道ミサイルが発射されたら?
弾道ミサイルが発射された場合、Jアラートは私たちにどのように届くのだろうか?
●ステップ1
政府が、弾道ミサイルが日本に「飛来する可能性」があると判断した場合に、国民に避難を呼びかけるために送信される。
●ステップ2
その後、弾道ミサイルが日本の領土・領海に「落下する可能性」があると判断された場合には、続報としてただちに避難を呼びかけるメッセージが届く。
●ステップ3
弾道ミサイルが日本の領土・領海に「落下した」と推定された場合と、日本の上空を「通過した」場合と、日本まで飛来せず「領海外の海域に落下した」場合に、その旨が続報として届く。
【参考】エリアメール・緊急速報メールの受信画面の実例
(平成28年2月7日に沖縄県内で配信されたもの)
■ミサイルが発射されてもJアラートが来ない時がある?
しかし、5月29日朝の弾道ミサイル発射時のように、Jアラートが届かない時もある。この日に届かなかったのはなぜだろうか?
総務省のQ&Aサイトによると、弾道ミサイルが日本の「領土・領海」に落下する可能性、あるいは通過する可能性がないと判断された場合には、Jアラートは使用されないという。
EEZ内にミサイルが落下する可能性がある場合にはJアラートは使われないが、船舶、航空機に対しての警報が発せられる。
【参考】領海等に関する用語(海上保安庁ホームページより)
■「Jアラート」の役割、より重要に
朝日新聞デジタルによると、連日の北朝鮮からの弾道ミサイル発射を受けて、政府は5月9日にJアラートによる避難呼びかけのアナウンス内容を変更した。国民に安全確保を促せるように、より具体的な指示を含む内容に変更したという。
これまで、ミサイル発射直後は「ミサイルが発射された模様です」とアナウンスしていたが、これに加えて「頑丈な建物や地下に避難して下さい」と付け加えた。
避難呼びかけについても、「直ちに避難。屋内に避難して下さい」から「直ちに避難。直ちに頑丈な建物や地下に避難して下さい」と具体的な指示を付け加えた。
ミサイルが日本の領土・領海に落下したと推定される場合は、「不審な物を発見した場合には、決して近寄らず、直ちに警察や消防などに連絡して下さい」としていたが、「続報を伝達しますので、引き続き屋内に避難してください」と呼びかける内容に変えたという。
続く5月11日に、消防局は、Jアラートを受信できない場合の対策方法を発表した。
報道資料によると、ほとんどの携帯電話・スマートフォンでJアラートの受信が可能だが、一部受信ができない端末があるという。受信できない場合には、Yahoo社が無料で提供している「Yahoo!防災速報」を利用する方法と、一部の地方公共団体で実施している事前にメールアドレスを登録しておく方法の2通りで、弾道ミサイルなどの情報を受け取るように勧めている。
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