アメリカ上院特別情報委員会のリチャード・バー委員長らは5月23日、トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務め、大統領就任前からロシアと接触していた疑惑で辞任したマイケル・フリン氏が議会からの召喚を拒否したことで、侮辱罪に問われる可能性があると語った。
フリン氏は合衆国憲法修正第5条の権利(黙秘権)を行使したが、これは企業や文書には適用されない。上院情報委員会の幹部によると、関連文書を提出しない場合、フリン氏を侮辱罪に問うかもしれないという。
フリン氏は当初、ロシアのセルゲイ・キスリャク駐米大使と電話で密談したという報道を否定し、マイク・ペンス副大統領も繰り返し疑惑を否定していたが、2月9日にワシントン・ポストが密談があったという証言を報じると、それまでの主張を撤回し、ペンス副大統領に謝罪していた。フリン氏は虚偽の報告をしていたという理由で2月13日に大統領補佐官を辞任した。
ロシアとの接触を明らかにしない元陸軍中将のフリン氏は22日、上院特別情報委員会からの召喚状に応じることを拒否した。同委員会はロシアとトランプ陣営の関係や2016年の大統領選にロシアが介入した疑惑を調べている。
共和党のリチャード・バー委員長(ノースカロライナ州)と副委員長の民主党マーク・ウォーナー副委員長(バージニア州)は、フリン氏の弁護士に書簡を送り、フリン氏が文書について黙秘権を行使する権利があるのかを尋ねた。
また、新たに2通の召喚状をフリン氏の会社、フリン・インテル合同会社とフリン・インテル株式会社(いずれもバージニア州)に送った。
「企業が修正5条の権利を持たないことは明らかだ。法人だからだ」と、ウォーナー氏は報道陣に語った。
ウォーナー氏は召喚を実現させるために「あらゆる選択肢」があると述べた。
どのような選択肢があるのか問われると、バー氏は侮辱罪などを検討していると述べたが、委員会の弁護士はまずフリン氏の協力を得るために動くことを検討していた。
「最終的な手段は侮辱罪だ。今はそうしたくない。我々はフリン中将から話を聞きたい。文書を見せてもらい、彼の口から事情を説明してほしい。フリン氏は『語るべきことがある』と公の場で語っていたからだ。我々はその機会を与える」と、バー氏は語った。
この問題がさらに深刻なのは、フリン氏が外国政府との契約を明らかにしなかったことだ。 最近まで軍の将校だったフリン氏は、国防総省からの許可が下りるまで、外国からの報酬受け取りを禁じられていた。
アメリカ国防総省によると、フリン氏はロシアやトルコ政府の関係機関などと多くの契約を交わしていたが、必要な許可申請を求めた形跡はない。またフリン氏は、トランプ政権の大統領補佐官に就任する前の身辺調査で、連邦政府に契約のことを明かさなかった。
2016年秋、情報当局はロシアが前例のない手段でアメリカの大統領選に介入していると警告した。上院特別情報委員会は、トランプ陣営がロシア大統領府の関係者と正確にどのようなやりとりをしていたのか突き止めようとしている。また連邦捜査局(FBI)もこの件を捜査している。
ロシア疑惑の捜査を趣向していたFBIのジェームズ・コミー長官が9日、トランプ氏から解任されたことを受け、司法省はトランプ氏とロシアの関係を調査するために元FBI長官のロバート・モラー氏を特別検察官に任命した。トランプ氏は、コミー氏が自身の政権を捜査していることは気にかけていたが、コミー氏を解任した直接の原因はヒラリー・クリントン氏のメール問題の捜査方法にあると主張している。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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